『なしとりきょうだい』
かんざわとしこ・文
えんどうてるよ・絵
ポプラ社
病気のおかあさんと3人の兄弟がおりました。
薬を買うお金もなく、おかあさんはだんだん弱っていきました。
ある日、「やまなしが食べたいなあ」と、空を見上げながらつぶやきました。
それを聞いた、一番上のたろうは、梨(なし)をとるために、山へ出かけていきました。
途中、たろうは髪をばさりとたらしたばあさまと出会います。
ばあさまが言うには、この先に三つにわかれた道があって、そこに立つ笹(ささ)の葉の言うとおりに、道を選んで進め、と。
たろうがその道にさしかかると、たしかに、笹が三本すっくと立っていました。
いけっちゃ かさかさ
いくなっちゃ かさかさ
いけっちゃ かさかさ
笹の葉がささやきます。笹の言うとおり、たろうは行きませんでした。そして、大きな魚に食べられてしまうのです。おかあさんは元気になれるのかな。
人の話は、素直に聞き、素直に受けとること。
素直な心をもっていると、自然界のあらゆるものが、正しい道を教えてくれます。
木の葉も、鳥も、木にみのった梨も林檎も栗も。