『木のうた』
イエラ・マリ作
ほるぷ出版
言葉はありません。
大きな木が一本、絵本の中に立っているだけです。
雪の積もった景色、土の中でリスが眠っています。まんまるくなって、スースー寝息が聞こえてきそう。土の中でリスが目を覚まします。春がきて、リスは土から顔を出します。それから・・・・・・。
大きな木をめぐる季節の移り変わりが、静かに、静かに、描かれます。
この絵本が楽しいのは、一度目に眺めたときには気づかなかった発見がたくさんあること。地面の上には見えなくても、雪の中で小さな芽がいっぱい出ていたり、
新しい鳥がいることに気づいたり、雪の結晶があったり。
そして、その大きな木が栗の木だということに気づいたりするのです!
時はめぐり、春も夏も秋も冬もくりかえす。
何千年何億年と続く、いのちの環(わ)のなかで、
私たちは生きています。