今回のオリンピックの競技でもLGBTでもめている。男女の性別と心の問題、社会規範にくわえてスポーツのルールが混在していて、整理することをせずに議論だけが拡散している。日本ではLGBT理解増進法は、2023年6月16日に成立した。全国の当事者・支援者らの団体も、思念や懸念は提示しているが、歴史、文化を形成してきた社会における変化の対応には時間と努力が必要であることをあまり理解していないではないだろうか。
パリ・オリンピックで、ボクシング女子66キロ級の2回戦が行われ、アルジェリアのイマネ・ケリフ選手とイタリアのアンジェラ・カリニ選手が対戦した。ケリフ選手は、昨年の女子ボクシング世界選手権で、国際ボクシング協会(IBA)の資格基準を満たせず、失格となっている。これは、男女の性差をスポーツ上どう捉えるかの問題であるが、国際ボクシング協会はDNAにて判定していたとしたが、IOCはトランスジェンダーの案件ではないとしている。
銭湯やトイレ使用や今回のスポーツにおける問題の原因の本質は、理念、法律、社会の実生活、スポーツのルールが整理されていないことにある。要するに、理念が前のめりの状態である。これにより、関連団体も具体的な提案をする能力を失っている。理念を実現させるには法律だけつくってもの無責任である。感覚論であるが、理念・法律は差別撤廃をさけび、スポーツは競技の安全性・公平性をさけんでいる以上、対立は今のままでは解決しない。