飛鳥時代丁未の乱後、物部氏は衰えていきます。これによって、物部氏が奉じてきた古代神道は完全に封印されることになります。海部氏とは物部氏の中の祭祀を一手に行ってきた一族です。海部氏本系図は、国宝に指定されています。海部氏は、物部神道の奥義を極秘伝という形で継承してきたのです。極秘の鍵となるのが社紋、であり公開されました。
この社紋は六芒星、ダビデの星といわれユダヤ人のシンボルと同じです。私は、時代考察的に、このシンボルからは物部氏がユダヤ人と関係があるとは言えないとおもいます。ユダヤ教が教義の上からこのシンボルを神聖なものとして見ているというような事実はないと思いますが、17世紀以降、ユダヤ人を表わす記号として定着しています。例えば、11世紀には、旧約聖書最古の写本に六芒星が描かれているため、ユダヤ人社会に広がり、19世紀はじめにはロスチャイルド家の家紋にも取り入れられました。
物部氏の歴史を知るには、『古事記』や、『日本書紀』を読み替える必要があります。後の『先代旧事本紀』という物部氏寄りの伝承が出ますが、偽書説が強く、史実として鵜呑みにすることはできません。なぜ物部氏は消されたのか。物部氏はなぜ『先代旧事本紀』を書かざるをえなかったのか。物部氏は歴史を驚かせる事をしたのだろうか。それとも、物部氏の足跡を辿られては困るようなことが、日本史の展開や、記紀の編纂者の事情にあったのだろうか。
特に神武東征以前における物部氏の祖にあたるニギハヤヒ(饒速日命)の一族の活躍と物部神道は、古代日本の謎を解くヒントになるでしょう。
参考図書:物部氏の正体 関裕二著