本件議論は、活発化してきているようにみえるなかで、日本社会、日本の歴史の安定性という観点からみてみたい。古代、天皇家の系統は3回変わっているという学説があるが、世界的に見て天皇の血統の系図の力というものは、特別である。どこの民族でも伝統文化を衰えさせないかぎり、力を失うことはことはないということは認識しているであろう。つまり、民族の結束力の方法といえるのではないだろうか。
この力を維持する方法として日本人は、天皇をつうじて、生きている神として人々と神とのつながりを具現化してきたのではないだろうか。こうすることにより、一段高いレベルの神性というものの下で社会、人々は平等という精神を養い安定的な社会を運営できることを獲得してきたと考えられる。
この日本人の知恵といえるものが、今後どのように本件議論に生かされるかは分からないが、単なる男系、女系の観点だけでなく歴史における社会の安定性の方法という側面も重要視されたい。