私が50歳になった時、「バイクに乗れるのは60歳が限度だろうなぁ」と想定したが、難なく通過。還暦の頃、「いくら何でも、70歳が限界だろう」と想定したが、これもクリアしてしまった。しかし、だからといって現状を甘くみていない。劣化は確実に起きているのだから。
高齢になってもバイクに乗ってツーリングができるなんて、何とまあ幸せなことだと思いながらバイクを乗り続けている。前回のブログでは、私のような高齢ライダーが意識すべきことを書いた。今回はその続きを書く。
3.ライディングに集中
「ながら運転」なんてもってのほかで、絶対にやってはいけない。でも近年、運転形態的にながら運転がほぼ不可能なバイクにおいても、技術の進歩によって容易にながら運転ができるようになった。
これだけモノが溢れている時代なのに、バイク専用のナビはほぼ無いに等しいので、ツーリングライダーの多くはスマホをハンドル付近に設置しナビアプリを使っている。そんな中、この数年バイク界隈で普及しだしたのがスマートモニターと称する、ポータブルナビかタブレット端末のような外観のディスプレーモニター。これをバイクに取り付けて、スマホとペアリングをすれば、スマホのナビや音楽、電話などがスマートモニターを介して使用できる。スマホをバイクに直接取り付けると振動や高温、水による故障や盗難などが懸念されるので、このようなシステムが普及しだした。そして、10年以上前から普及が目覚ましいのがインターコム(インカム)。ヘルメットにインカムを装着すれば走りながら仲間のライダーと会話ができるし、スマホとペアリングすれば音楽や電話も使える。このように、バイクの世界でもながら運転が容易にできる環境が整ってきた。これを喜ぶべきか悲しむべきか・・・。
私は「ちゃんと前方を見て、ライディングに集中していれば、事故はそうそう起きるものではない」が持論。前述のように、それを阻害するアイテムが次々と市場に出てきた。かく言う私はどうか。私は車用のポータブルナビを防水ケースに収納し、ナビだけ利用している。音楽や電話は不要。歳をとるとマルチタスク、つまり複数のことを同時に処理する能力が落ちる。だから、何歳であってもながら運転はやってはいけないが、高齢者はより危険だ。バイクに乗っている時間は長い人生の極一部だ。そんな長くない時間なんだから、俗世間の戯言から離れ、リアルな世界のライディングに集中し、走れる喜びに浸っている。
私は車用のポータブルナビを防水ケースに収納して使っている
4.バイクから降りてもリスクあり
ツーリングでの事故はバイクに跨っている時だけ起きるとは限らない。友人と落ち合ったある道の駅で、話しながら階段を登っていたら、躓いて転んでしまった。まさしく”ながら”歩行であり、幸いケガはしなかったが、高齢になるとちょっとした転倒で骨折したりしてしまうことがあるので、些細な躓きを軽く見てはいけない。以前、山深い峠に到着した時、写真を撮ろうとカメラを構えながらウロチョロしていたら、道路脇の側溝に危うく落ち掛けてしまった。側溝程度ならまだマシで、谷に転落する可能性だってある。写真を撮る際は背後にも要注意だ。先月の房総半島のツーリングでは、山の上にあった東屋で休憩しようと思ったら、ブ~ンと大きな蜂がいつまでも私の頭上から離れない。近くに巣があるのか、蜂は警戒モードプンプンだ。蜂に刺されて死んでしまうことだってある。休憩を取り止め早々に再出発した。
撮影ポジション探しに集中し過ぎると、右側の崖から転落するかも
ライダーの多くは峠に着いたら休憩したくなる。山深く鬱蒼とした峠の場合、私は最近、ヘルメットを脱がないことがある。クマが怖いからだ。クマが人間を襲う場合、最初に頭部をガツーンと狙ってくることが多いそうで、命を取り留めた方でも頭部や顔に大きなケガを負ってしまう。そういう時、ヘルメットは有効なので、ヘルメットを脱がないようにしている。頭をガブリとされても大丈夫だろう。峠に着いたらヘルメットなんか脱ぎ捨てて清々としたいんだけどねぇ。走っている時は集中しているから何も起きなくても、バイクから降りて気が抜けた後につまらないケガをしてしまう恐れがある。休憩中も少しばかり注意が必要だ。
5.潔くダウンサイジングしよう
健康食品やサプリのテレビCMでは、信じられないような若作りの高齢者が颯爽と登場する。でも外見は取り繕えても、身体の様々な機能が劣化、低下しているのはどうしようもない。バイクに乗る上において特に必要なのは、視力とある程度の筋力。老眼でも走れるが地図は読みづらくなる。その程度ならまだいいが、暗いトンネルに入ると非常に見えづらくなる人も多かろう。山奥のトンネル、いや隧道と称される昔ながらの小さなトンネルには照明が全く設置されていないことも多いから、こういう場面ではスピードを落とすしかない。
バイクを走らせている時は大きな力は要らないが、超低速時にちょっとバランスを崩して立て直そうとしたり、停車しているバイクを移動させようとする時には、それなりの力が必要になる。更に、もしバイクを倒してしまったらそれこそ大変だ。それが無人の山奥で起き、バイクも自分もなんとも無いのに、倒れたバイクを起こせなかったらどうなるか考えると、ちょっと怖い。
私は65歳まで650ccのバイクに乗っていたが、今では160ccと250ccのバイク。160ccでも全国どこにでも問題無く行けるし、高速道路でも110km/hの巡行が可能。もう一台の250ccのオフロードバイクなら、それよりずっと余裕を持って道を選ばぬツーリングができる。若かった頃憧れていたビッグバイクに乗り続けたい人も多かろうが、重さだけでなく暴力的で過剰とも思える加速力に自分が順応できなくなってきたと感じたら、潔くダウンサイジングを考えた方がいい。
セカンドバイクのADV160
160ccながらロングツーリングに不満は無い
(しまなみ海道)
6.ヒヤリ・ハットのサインを見逃すな
自分の体の劣化状況を認識しながらもバイクに乗り続け、最近ヒヤリ・ハットが頻発するようになったとしたら、残念ながらそろそろ潮時かも。「ハインリッヒの法則」がある。これは労働災害において、1つの重大事故の背後には29の軽微な事故があり、その背景には300の異常(ヒヤリ・ハット)が存在するという有名な経験則。一昨年私がシカと接触して大転倒し大ケガを負ったが、これなんか正しくこの法則の通りに起きた。
この事故を除けば、私はバイクを運転していてヒヤリ・ハットはほぼ無いので、まだ大丈夫だと考えているが、もしこれが増えて来たら「そろそろ卒業の時期ですよ」のサインだと捉えるつもりでいる。そのまま無自覚に乗り続けたたら、その内取り返しの付かない事故を起こしてしまうかもしれない。高齢になったらこのサインを見逃さずに、大事故を起こす前に沈思熟考しよう。
こんなことを考えなければならない”お年頃”になってしまった。人間に必ず老い、寿命があり、賞味期限(健康寿命)はそれよりもずっと短い。ライダーの誰もが、いつかバイクからフェードアウトかシャットダウンしなければならない時が来る。せめて強制終了という形で終わらせたくない。現時点、こうしてバイクに乗っていられることを幸せと感じつつ、時間は確実に減算されていることを自覚し、できるだけ長く「無事故、無転倒、賞罰無し」でバイクに乗り続け、全国を走り廻ろうと思っている。











