マリアとヨセフが住民登録をしたかどうかにかかわらず
ルカが言うような形でローマ領全土の経済活動を止めて
すべてのローマ帝国国民を住み慣れた土地から、家族全員を連れて
遠く離れた父親の生誕地に旅をさせ、登録するというのはありえないとの
ことです。
住民登録は税金の徴収が主な目的なので現在住んでいる土地で行われる
ものだからです。
また、家父長制社会における住民登録なので家父長が家族全体を
代表して行うもので妻がわざわざ夫の先祖のそのまたはるか昔の先祖の
町まで夫と一緒に出かけていくということもありえないそうです。
つまりマリアとヨセフの住民登録とそれによりイエスがベツレヘムで生まれた
というのは歴史的事実ではないということになります。
「実際の出来事から一世代少し後にこれを書いているルカ自信が自分の
書いていることは厳密に言うと不正確であることを知っていた。
ルカはベツレヘムでのイエスの誕生物語が歴史的事実と解釈されること
を全く意図していなかった。
ルカは現代世界の私たちが言うような「歴史」という概念を持って
いなかったのかもしれない。」 と資料は述べています。
すべての人は聖書を利用する悪徳宗教家に騙されないために
聖書はイエスについても神についても歴史的事実を書いているわけでは
ないこと、大半は筆者の自分なりの考えを述べている書物だということを
心に留めておくことは大切です。
だからといって何千年も前の人たちが何を考え、どう行動していたかを
知ることができる聖書の価値が下がるわけではないと思います。
またメシアとしてのイエスより歴史上の人物としてのイエスのほうが
はるかに魅力的で学ぶ点があるかもしれません。
もしイエスが現在いたなら・・・・・
烈火のごとく怒って統治体や支部の連中をムチで追い払って
しまうでしょうね。
信者からお金をむしり取って「神の組織」と言いながら
「強盗や犯罪者の組織」にしてしまったって。
資料 イエス・キリストは実在したのか
レザー・アスラン著