子ども手当の行方 | 菅川洋オフィシャルブログ「清新誠意。Action!」Powered by Ameba

子ども手当の行方

様々な審議の野党側からの前提条件の一つとして“子ども手当”の撤回が含まれています。

しかし、金額的な修正はあったとしても撤回は考えられません。

マニフェストにあるから守らなければならない、と固執しているわけではありませんが、

1.少子化が速いスピードで進んでいて、日本人の年齢構成がいびつになっている

2.子どもに対する予算が、OECDの平均でGDPの2.4%に対し、日本はGDPの0.8%しかない

3.日本の施策は親の所得によって区別され、不公平な形である

といった実情を直視し、日本の将来を担う子どもたちへの投資として考え直す入口が

“子ども手当”であるからです。

この子ども手当を導入するにあたり、今までの不公平な制度をやめることを行っています。

一つは児童手当。もう一つは扶養控除です。

児童手当は一定の所得以下の家庭に対し、支給するものです。この制度では、一定の所得で

線を引くことになりますから、この線の上下で収入の逆転現象が起きます。つまり、働いて所得を

増やすよりも、働くのを抑えて児童手当をもらうというようなことが起きます。

また、この所得は前年の所得が基準となりますので、昔と違って収入が年度ごとに不安定に

なっている時代に合っていません。昨年は収入があって、今年、職をなくしたという場合、手当が

ありません。

次に扶養控除ですが、これは所得が高い人ほど税金をたくさん控除してもらえる制度です。

所得税は累進課税ですから、40%の税率が適用される人は年間185千円(住民税込み)税金が

少なくなるのに対し、5%の税率が適用される人は年間52千円(住民税込み)と1/3以下に

なってしまいます。

今までの制度では一定の所得以下の家庭と高額所得の家庭に対し、国が支援を行っていて

ちょうど中間の所得の家庭には支援が少ないという親の所得に応じて子どもに対する支援を

していたのです。

ですから親の所得に関係なく、子ども一人一人に着目し、公平に支給しているのが子ども手当です。

まさに子育てに対する発想そのものを変えるものなのです。

今までの政策通りだと同じ結果しか出ません。

発想そのものを変えないと政策は変えられません。

この子ども手当は、満額出してもGDPの1.1%にしかなりません。

ですから他の施策も考えなければいけません。

子ども手当はあくまでも入り口なんです。


東日本大震災において被災をしても、理性をもって行動している日本人の姿は世界から称賛されました。

日本の良き伝統と文化を引き継ぐ子どもたちを社会全体で育てていくのは大人の責任ではないでしょうか。

将来の日本を考え、子どもの育ちを支える仕組みを、与野党の駆け引きの材料にされていることは

非常に残念なことです。

子ども手当の先行きが不透明ですが、必要性についてはしっかり訴えて参ります。