今日は、


『すみれの花プロジェクト』についてお話しさせて下さい[みんな:01]


ですが、やはり一回ではお話し切れないと思いますので、数回に分けてお送りしていく事になると思います。


どうぞお付き合い下さい!






そして、このプロジェクトが誕生するまでの道のりを考えると、やはり自分の退団公演あたりまで遡らなくてはいけないなぁと…





今日は


ある一冊のノートについてお話したいと思います。




『愛のプレリュード/Le Paradis!!』の東京公演が初日を迎える頃、楽屋に一冊のノートが置かれました。



組長のはっちさん(夏美ようさん)が


「これは、何を書いても良いノートにします。気付いた事。提案。ファンの方からの言葉で組の皆に伝えたい事。そして、この状況で皆の精神力もかなり限界に達しているけれども、そんな時は何かポロリと書いてみる事で溜め込まずに気が楽になるもの。好きに利用して下さい。」

と…




2011年春の花組東京公演は、直前に起きたあの東日本大震災で首都圏もまだ大混乱の中始まりました。



袖や廊下なども出来る限り節電して薄暗い中、余震もまだまだ続き、公演日程も確実にこなせるのかは皆目見当がつかず、生徒もスタッフも先の見えない不安の中でとにかく必死に初日を迎えるという状況でした。




何とか無事に初日の幕を開けて、早速組子たちの書き込みが始まります。



「実際に募金活動を始めて、こんな事を感じました。」


「こんな風にするとさらに節電になりますよ!」


「昨日実家で家族とこんな話になりました。」


手書きなので、なんとなく誰が書いたのか分かってしまうというアナログさですが(笑)




この公演は真飛さんのサヨナラ公演であり、自分の退団公演であり…



でもやはりそれ以前に、東北では多くの尊い命が失われ、日本が未曾有の状況に陥っている中、夢のように華やかな、正に娯楽の舞台に立つ事に私は抵抗を感じずにはいられませんでした。




ですが…


「舞台に立つからには、何かしよう!」


という花組生全員一致の意見で、終演後にローテーションでロビーに立ち、お客様に募金を呼びかける事なども決まり



とにかく、


「今の自分に出来る精一杯の事をしよう!」

という思いでやってきた東京。



でもやはり、連日の緊迫感から、皆初日を迎えるころにはすでに限界に達していたように思います。


そしてプロローグの幕が上がると、やはりなんとも言えない表情のお客様達。





とにかくこの3時間、宝塚の舞台を愉しんでいって下さい!


そして、少しでも心を元気にして帰路について下さい!


その少しの元気が、タンポポの綿毛の様にちょっとずつ周りに飛んで行って、そして、東北にまで届きますように…[みんな:02]


組子の誰もが、そんな祈りにも似た想いで連日舞台に立っていました。




そんな生徒達の心境や精神状態を察してノートを置いて下さったはっちさん。


募金活動なども、いざやるとなると様々な雑務が生まれてきますが、そんな組子と劇団の橋渡しで連日走り回って、誰よりも疲労困憊していたはずなのに、誰よりも温かい心遣いをして下さり…



サヨナラ公演で、これが平時の公演だったとしてもお忙しい中、全公演、もくもくと募金活動に立ち、舞台上では組子を引っ張っているゆうさん。



そんな花組みんなの思いが、このノートには凝縮されていて、私は緊迫した毎日の中、時々このノートを覗くのが
楽しみになっていました。



「今日は新人公演。若者たち、頑張れっ!」


「新人公演の本番を終えて、こんな事を感じました。今日からの本公演も頑張ります!」


「私はこの公演中、花組の皆を、下級生の一人ひとりに至るまで心から尊敬しました…」



なんだか、卒業のその日には全文コピーして持って出たいほど、私はこのノートに励まされました[みんな:03]




そして、


「今の自分に出来る事」


図らずもこの時のお芝居『愛のプレリュード』の中の台詞ですが、



正にこの瞬間、生徒の誰もが、様々に葛藤しながらも、

『舞台人である自分』


の意義について真っ正面から向き合い、考え、行動していたと思います。




そして…


今、その舞台から降りようとしている私には、



そんな私だからこそ出来る事があるはずだと。




みんなの想いの込められたページをめくりながら、私はそんな事を感じ始めていました…






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