小学校に入って数年は、サンタさんがちゃんと来てた。

DSが欲しいって言ってたのに、絵本が来たけど。

それでも、嬉しかった。

あの日、母親に言われるまでは。



「サンタさん、もう来れないよ」


真冬の買い物の帰り道、ふと母親がそう言った。

本当は、サンタさんが親だ、って事は知っていた。

だからこそ、何でそんな事を言うのか、理解したくても出来なかった。

姉には、小学校6年間きっちりサンタさんが来ていた。

自分にだけ来ない、なんてそんな酷いことを言うはずがない。

不平等だ。


「なんで?来るもん...」


母親は何も言わなかった。


本当は「ごめんね。実はサンタさんは親なの。お金ないから、難しいの。」

って言ってくれたら、私は納得できた。

何で本当の事、話してくれないんだろう。


叶えられない夢を持たせるのって、

なに?


その年のクリスマス、欲しいものを書いた紙をしっかり見えるように、枕元に置いた。

内容は忘れたけど、かなりリーズナブルなものだ。

きっと、これなら買えると用意してくれるに違いない!


翌日、紙がなくなっていた。

私は喜んだ。きっと明日にでもメモを見て、買いに行ってくれるんだ。

そうに違いない。

翌日。プレゼントは、なかった。まだ気が早いのかもしれない。

1週間後。プレゼントはなかった。代わりのものを探してくれてるのかもしれない。


1ヶ月後。プレゼントはなかった。クリスマスの日にも何もなかったから、きっと合わせて特別なものを用意してくれてるのかもしれない。


2ヶ月後。


私は布団の中で母親に聞こえないように、静かに泣いた。

一晩中、泣いた。