1968年3月19日、24歳のジョニ・ミッチェルはカナダのオンタリオ州オタワにあるLe Hibou Coffee Houseでライヴを行なっていました。デビュー・アルバムの「Song To a Seagull」は、数日後にRepriseでリリースされる予定でした。 同じ日に数ブロック離れたキャピトル・シアターでジミ・ヘンドリックスはショーを終えジョニに電話を入れ、自分のテープレコーダーでジョニのライヴを録音したいと申し出ます。ジミヘンもジョニに注目していたというわけです。
録音されたテープは盗難にあい、行方不明となっていました。最近、カナダ国立図書館文書館(LAC)に寄贈され、ミッチェルのもとに返され今回のリリースとなったようです。 ジミヘン録音の音源は当日の2つのセットを記録していてボックス・セットのディスク2に収録されます。 Le Hibou Coffee House, Ottawa, Ontario, Canada, Recorded by Jimi Hendrix (March 19, 1968)
First Set
“Night In The City” “Come To The Sunshine” Intro to “The Pirate Of Penance” “The Pirate Of Penance” “Conversation” “The Way It Is” Intro to “The Dawntreader” “The Dawntreader”
Second Set
“Marcie” Intro to “Nathan La Franeer” “Nathan La Franeer” Intro to “Dr. Junk” “Dr. Junk” Intro to “Michael From Mountains” “Michael From Mountains” “Go Tell The Drummer Man” Intro to “I Don’t Know Where I Stand” “I Don’t Know Where I Stand” Intro to “Sisotowbell Lane” “Sisotowbell Lane” Intro to “Ladies Of The Canyon” “Ladies Of The Canyon”
答えは(2020年現在)ジョージ・ハリスンが87年に発表した「セット・オン・ユーGot my mind set on you」です。さすがのビートルズも21世紀に入ってからのNO.1ヒットは生まれていません。
George Harrison - Got My Mind Set On You (Version I)
最後のNO.1ヒットの「セット・オン・ユー」はジョージの作品と思われている方もいらっしゃるかもしれませんが、実は62年にルディ・クラークが作曲しアメリカのR&Bシンガー、ジェームス・レイJames Rayが歌ったノン・チャート・シングル「I got My Mind Set On You」をカバーしたものでした。
このときに、店頭に並んでいたジェームス・レイの「セット・オン・ユー」のシングルを見つけて買ったということのようです。チャートにも入っていないシングルを何故買ったのか?ビートルズはジェームス・レイの61年の全米22位のヒット「イフ・ユー・ゴッタ・メイク・ア・フール・オブ・サムバディIf You Gotta Make a Fool of Somebody」を62年のライヴでたびたびカバーしています。
「デルタの夜明けDelta Dawn」の本国での発売は1973年の6月ですから夏ごろには日本でも良くかかっていました。前年の「私は女 I Am Woman」もヒットしていたし、この頃ヘレン・レデイは日本でもけっこう人気があったように思います。「デルタの夜明け」はコリンズ・キッズというロカビリーのアイドル・グループの一員だったラリー・コリンズとソング・ライターのアレックス・ハーヴェイ(同名の人いましたね)の共作で、作者でもあるハーヴェイが71年の11月に発表したものがオリジナルです。
しかしミドラーはすでにアトランティックと契約していたため当てが外れてしまいますが、「デルタの夜明け」をあきらめきれないシェリルは「The Happiest Girl In the Whole USA」という曲でデビューさせようとしていた天才少女歌手タニヤ・タッカーに急遽「デルタの夜明け」を歌わせシングル・デビューさせてしまいます。
閑話休題。ちなみに本来のデビュー曲だった「The Happiest Girl In the Whole USA」は作者であったドナ・ファーゴのデビュー曲に廻されます。ってことでファーゴは自作でデビューという幸運に恵まれ楽曲自体もカントリー・チャートで見事に1位、POPちゃーとでも7位の大ヒットとなり、なんとその年のグラミーではカントリー部門のベスト女性歌手賞を受賞、まさにタイトル通り最高に幸福な女の子になったのでした。世の中面白いですね。