サカナクションが好きだ。
音楽性だの世界観だの難しいことは分からないが、独特の心地よさがある。
彼らの世界は薄暗いが悲しくなく、どこかに希望を感じさせるイメージがあり、そこが好きなんだろうと思う。
なかでも一番のお気に入りは「蓮の花」という曲だ。
映画の主題歌になったmovie versionと、アルバムに収録されたsingle versionの二つがあるが、前者が素晴らしい。
くぐもったサウンドと多用されるエコーの効果で、独特の浮遊感を演出している。
泥の中で静かに微睡み、開花の時を待つ蓮の花の情景が、創作の苦しみと開放を願う歌詞と重なる。
だが、「彼」が救いを求めているのは蜘蛛。
カンダタのように糸で引っ張り上げてほしいと歌うさまは、開花を待つ蓮の姿とかけ離れた苦しみを想起させる。
それでも、苦しみの先に花を咲かすことを誓ってこの曲は終わる。
泥より出でて染まらず。気高く美しくありたいという願いだろうか。
そういえば、救いを求めた蜘蛛は「今朝逃がした蜘蛛」なのだ。
僕のアパートには、彼らがよく遊びに来る。僕はどういうわけか蜘蛛は殺せず、あの手この手で外に逃がしている。
いままでの数を合わせれば、鋼線ワイヤくらいの太さと硬さになるのではなかろうか。
今は泥の中であがいてみよう。
そうすれば彼らも、何かの気まぐれで糸を貸してくれるかもしれない。