歳を重ねて人間が丸くなるって、
曖昧になるってことでも
諦めて妥協するようになるってことでもなくて、
「自分」がいろんな意味で濃く抽出されていって
いろんなことが、いい意味でシンプルになる
っていうことなんじゃないかと思います。

自分の願いが素直にストレートになって、
だから、譲っていいものは気持ち良く譲れるし、
逆に譲っちゃいけないものは何かってわかる。
何でもかんでも抱え込むんじゃなくて、
自分で「選んで」いけること。

思い通りにいかなくても、絶望したり諦めるのではなく、
別の方法や選択肢を柔軟に考えられる。
ときには思い通りにいかないことがあるのも、
自然なことなんだって理解できてて、
自分の人生に、自分がちゃんと責任持てる。

端から諦めたり曖昧になったり何かのせいにしたり、
波風立てないことだけを優先して自分を無くしたり、
責任転嫁と正当化だけで自分を保ったり…
そういうことではないと、私は思います。

一見、どちらも人当たりはソフトになって、
うまく生きていけるようになったように見えるけど、
本質は正反対。

前の私なら、こんなこと見間違うはずない!
って思ったと思う。
けど、いざ当事者になると意外に難しい。
意外に紙一重で、気を抜くとわからなくなる。
ちょっと前まで当たり前にできてたことが、
なんでかわからないけど、うまくできなくなる。

これ、ピアノなんかでもそうだなって思います。
自由にしっくりくるように演奏できてたのに、
ある日急に変になっちゃう。
変に音が転がったりタイミングつかめなくなったり。
要するに、空回ってしまうんですね。

そしたら、基本に一度戻る。
基本を矯正するみたいに、落ち着いて地道に。

すると、またある日、自由にしっくり弾けるようになる。
しかも、前よりもっとずっと、しっくりと深く。
そして、本当に自分のものになったって感じる。

そういうことなのかなって思います。
空回りまくった挙げ句、
空回りの負荷で車輪が壊れてしまって、
バラバラに放り出されてしまったけど、
それならもう一度組み立てればいい。
分解したの組み立てれば仕組みもわかるし、
壊れる原因を見つけて強化することもできる。
そしたらその分、前よりも強くしなやかになりますね。

バラバラになってしまったとしても、
消えてしまったわけじゃない。
目に見えるものじゃないからわかりにくいけど、
より強くより自分らしくなる日の、
夜明け前に立っているのかもしれない。

夜明け前が、いちばん暗くて寒い。
でも、時を絶たなければ、必ず夜は明ける。
それが信じられないときもあるけど、
信じていいのだと思います。
それが自然で、そういうものなんだから。