ラグタイム @日生劇場

 

出演:

石丸幹二:ターテ 

井上芳雄:コールハウス・ウォーカー・Jr 

安蘭けい:マザー 

遥海:サラ 

川口竜也:ファーザー 

東啓介:ヤンガーブラザー 

土井ケイト:エマ・ゴールドマン 

綺咲愛里:イヴリン・ネズビット 

舘形比呂一:ハリー・フーディーニ 

畠中洋:ヘンリー・フォード&グランドファーザー 

EXILE NESMITH:ブッカー・T・ワシントン

 

新川將人、塚本直、木暮真一郎

 

井上一馬、井上真由子、尾関晃輔、小西のりゆき、斎藤准一郎、Sarry、中嶋紗希、原田真絢、般若愛実、藤咲みどり、古川隼大、水島 渓、水野貴以、宮島朋宏、山野靖博 

 

リトルガール:生田志守葉/嘉村咲良

リトルボーイ:大槻英翔/村山董絃

リトルコールハウス:平山正剛/船橋碧士

 

 

先月書いたブログは作品の話だけで終わってしまったので、今回はキャストの感想

 

舞台で引く手数多の石丸乾二さん、安蘭けいさん、井上芳雄さん。再演を望んでも3人の共演なんてそう簡単に実現しないのではないかと思ったら居ても立ってもいられず、2回観劇してしまいました。

 

石丸さんが主役というわけでもなくて、3人のバランスがとても重要。井上くんは、歌は正統派だしコールハウスのイメージとは違うと思うものの、石丸さん、とうこさんと並んで遜色なくて歌えてコールハウスが合いそうな人が他にパッと思いつかないのも確か。

 

コールハウスが幸福から奈落の底へ落ちるのとは対照的で、ターテが貧困から成功へと駆け上がっていく真逆の構図が興味深かった。これもアメリカの一面。

石丸ターテは険しい表情から穏やかな表情になってラストは幸せな笑顔。石丸さんで印象深い『パレード』の救いのない終わりを思うと、こちらはホッとする。とうこさんと二人の♪Our Children 眼差しの温かさと歌声が素敵で、いつまでも観ていたいシーンだった。

 

先日も書いたけど安蘭さんのマザーは見た目も心も真っ白純真。とうこさんの母親役といえば直近は『ネクスト・トゥ・ノーマル』や『ジェイミー』(WOWOWで視聴)のようなエキセントリックだったり何かしら問題を抱えているイメージが強くていつか豹変するんじゃないかと

ただ受け身で流されているでもなく、自分で考え行動できる芯から美しい女性でした。見た目も2幕の髪を下した姿がとても若々しくて綺麗。

 

マザーの家族は父・畠中洋さん、弟・東啓介さん、夫・川口竜也さんと息子が一人。

 

ファーザーの川口さんがとても良かった。裕福な白人だけの世界に生きていて差別されたことがない故に、人が傷つくことに鈍感で悪意なく自分でも気がつかない偏見や差別意識が根底ある人。大抵の人はマザーの様にはなれず、ファーザーの様なのでは?と個人的に思います。世の中で起こっていることを息子に真正面から説明することが出来なくて、野球に誘うのがいかにも。野球観戦で周りに感化されていく息子と馴染めない父が面白い対比で笑えるけれど、年齢とともに順応性が失われるのは実感もあり切なくなる。歌も上手くて要所が締められる役者さん、貴重な存在です。

 

東啓介さんはこの3年間だけで『ホイッスル・ザ・ウィンド』『ジャージー・ボーイズ』『ザ・ビューティフル・ゲーム』と日生劇場で観ていて、しかも毎度良くも悪くも「僕がいなければ」なキーマン。歌も上手くてセリフが聴きやすくお上手なのだけど、そろそろ既視感のない役が観たい。

 

春に観た『RENT』で実力は十分認識していました。その歌唱力が存分に生かされたと思うサラ役の遥海さんと友人役の塚本直さん。

遥海さんの♪Your Daddy's Son の素晴らしかったこと!登場した瞬間から何の力もない若い娘という感じで、コールハウスに失望した苦しみ切なさも再び一緒になれた喜びも歌や表情に込められて、ミュージカル2作品目とは思えないほどでした。

 

遥海さん同様に海外にルーツを持つ方が、エマ・ゴールドマンの土井ケイトさんとブッカー・T・ワシントンのEXILE NESMITHさん。

土井ケイトさん、眼鏡とお衣装でかなりホンモノっぽい。硬派な感じもアナーキストらしい。♪He Wanted To Say の客観的な居方と歌が好きでした。

NESMITHさん、失礼ながら井上くんのラジオで歌っていたのを聞いて、大丈夫?と思ったけど、ご自身がボーカルの歌ではなかったのと生放送で緊張されていたのですね。舞台は素晴らしく深い歌声が活きて説得力がありました。

 

奇術師ハリー・フーディーニの舘形比呂一さんは昔よく観ていて、手先足先までピンと伸びた大きなダンスが大好きでした。久しぶりで嬉しい。

イヴリン・ネズビットの綺咲愛里さんは華やか。色んな意味で浮いてた(笑) 

 

今、ラグタイムの小説を読みかけです。舞台ではさらっと描かれている史実の登場人物ですが、小説ではかなり記述されています。エマとイヴリンの接点やフォードとモルガンの関係等もあって、どこからフィクションかは不明ですが、舞台から受けた軽い印象とはかけ離れたイヴリンの人生に絶句でした。

 

長編から主軸を定めて史実の登場人物ももれなく登場させたテレンス・マクナリーの脚本すごいわ~と思いながら読んでます。

 

子役さんたちは2回とも同じでした。

リトルガールに見覚えが…と思い幕間にキャストを確認。マチルダの嘉村咲良さんでした。『マチルダ』もキャスト発表前に購入した2回が嘉村さんだったし、今回も2回とも同じ。引き寄せてる?(笑)

リトルボーイの大槻くんは聡明な感じが伺えて、野球観戦の場面はやんちゃな男の子らしくて大変良かったです。

 

そして最後はリトルコールハウスが全部持っていきました!

小さな服も靴も含めて全部が可愛すぎでしたラブ