『ミス・サイゴン』25周年記念公演 @プリンス・エドワード劇場 2014年9月22日
製作:キャメロン・マッキントッシュ
作:アラン・ブーブリル/クロード=ミッシェル・シェーンベルク
音楽:クロード=ミッシェル・シェーンベルク
キャスト:
エンジニア ジョン・ジョン・ブリオネス
キム エバ・ノブルザダ
クリス アリスター・ブラマー
エレン タムシン・キャロル
ジョン ヒュー・メイナード
トゥイ ホン・グァンホ
ジジ レイチェル・アン・ゴー
スペシャルゲスト:
ジョナサン・プライス/レア・サロンガ/サイモン・ボウマン 他
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なかなか観に行けず、終了するかと思って焦りました。
映像のカメラワークってすごい。アップはもちろんのこと、客席ではどこに座っても見えないようなサイドから撮った正面顔等、貴重な表情がたくさん。
ジジの♪The Movie in My Mind の苦し気な表情と涙が印象的でした。
引き映像が少ないので、舞台だということをほぼ忘れてしまいますが、時折映る舞台床面と拍手と歓声で、これは舞台だった、と。
アップが多く表情がしっかり見られるのは良い面ですが、観たいところが観られないフラストレーションもやはりあります。
アンサンブルに中野加奈子さんとキム・スハさんを見つけ、まるで知り合いを発見したかのように一瞬前のめりになっちゃいました。後ろの人、ごめんなさい。
舞台なら追いかけて観られるけれど、映像はそうもいかず、アンサンブルが映るたびに探してしまいました。
そして、アメリカへ行く野心が前面に強く出ていたあのエンジニアが、ラスト、夢が潰えたときに、どんな芝居を見せていたのかがすごく気になります。
やっぱりこの作品は多人種がいる方がリアルさが出て、理不尽な戦争の悲惨さ、貧しさとアメリカへの憧れがクッキリ浮かびあがる気がします。
エンジニア、キム、クリスを筆頭にキャストさんがどの方も素晴らしいのは言うまでもなく。
キムがトゥイを殺めてしまうところは、映像でも胸に迫ってきて泣きました。
この場面、日本キャストでも全く引けを取らなかったことを思い出し、昨年もっと観たかったと改めて思いました。
海外と日本でやはり違うなぁ~と思ったのはエレン。
この作品、日本で見るより先に海外で続けて観たこともあり、偏見かもしれないけれど、エレンには強いアメリカ人女性という印象がものすごくあります。
今回♪Maybe を初めて白人エレンで聴いたわけですが、その後ホテルの部屋に戻ってきたクリスに「私か彼女か」と指差して強い口調で迫るエレンに吃驚したけれど、そうそう、これが私の知っているエレン!と納得もし。ただ、先の♪Maybeは何だったとも思いました・・・
ずっと、日本キャストでしっくりこなかったエレン。
(私の中で一番イメージに近かったのはシルビアさん)
白人キャストが演じるエレンなら旧演出の♪Now That I’ve Seen Her
日本キャストが演じるエレンなら新演出の♪Maybe それも昨年の日本版歌詞
個人的にはこれが一番しっくりきます。
最後にエレンがタムを引き寄せるところも、観るたびに、演出の違いが気になる場面。
今回は銃声が聞こえてすぐに、クリスからタムを抱っこで預かっていて、そこも違和感がありました。
昨年の日本公演でようやくエレンの人物像に納得がいったのに、今回見てまた振り出しに戻った感じ
本編終演後にスペシャルカーテンコールがありました。
1989年オリジナル・キャストが揃っていたのは凄い。
ベトナムの傘帽子をとったら、オリジナルキムのレア・サロンガだなんて、映画館で見ていても、テンション跳ねあがる感じ。
最初は、サロンガおよびアンサンブルの♪This is the Hour
サロンガと現ジジで♪The Movie in My Mind
女性二人ならエレンとの♪I Still Believe の方がメジャーかなと個人的には思うのですが、ここでジジがオリジナルキムとデュエットとは凄いなと。途中でサロンガが、上手いっ!と目を見張るような表情を見せていました。選ばれた?のも理解できます。
続いてオリジナルと現クリス&キム2組の♪Last Night of the World
現キャストのラブラブっぷりも、オリジナルキャストの時間を感じさせる信頼感も素敵で、途中でペアを入れ替えての共演は微笑ましい。
そして、オリジナルエンジニアによる♪American Dream
自虐ネタも交え笑わせ、車に乗って登場するのは毛皮のコートに身を包んだ女性・・ではなく功績者たちというところも笑いました。
現エンジニアも参加し、華やかなアメリカンドリームでした。
最後は客席も舞台もシャンパンを片手に賑やか。
こんなカーテンコールが日本でもあったら面白い。
映画館で見て良かったと思える作品でした。