

そうだった。欲しいと思っていたのは、ダウンタイプのマフラーの時だったのだ。うっかりしていた。この瞬間、あの忌まわしい過去の情景が頭をよぎった。
あれはまだ、セローが盗まれる前、今を遡ること10年前の晩秋あたり。茨城のキャンプ場に向かうブロンキーはその10年前に兄貴からもらった銀色のU.S.ARMYの振り分けバッグに、キャンプ道具を積めⅡ型のセローで快調に飛ばしていた。畑の中を気持ちよく走っていると、鳥の羽が結構目立ってきた。近くに養鶏場でもあるんだろうと思っていたが、どうも焦げ臭い。不思議に思い振り返ると、自分のセローが羽毛を振りまいているではないか!急遽停まってよく見てみたら、高熱になったセローのマフラーが振り分けバッグを燃やし、さらに中に積んできたお気に入りのダウンベストも溶かし、羽毛を吹きまくっていたのだった。ダウンベストが燃えてしまったショックが、キャンプでの体感温度を10度下げ、焚き火とともに燃え尽きた振り分けバッグの中身をしこたまリヤシートにくくりつけて帰ってくる気分は、非常にブルーであった。
とはいえ、今回は前回の反省をいかし、どう熱対策をするか考察中のブロンキーでした。