今週のお花チューリップ黄チューリップ赤チューリップ紫チューリップピンクチューリップオレンジです。いつも当院近くのミドリヤさんクローバーから届けてもらっていますニコニコ!!

 

 さて、たまに、わたくし、X(旧Twitter)を見ますが、皆さん、匿名投稿がほとんどですね。そして、匿名投稿の方は、辛口ですよね。「実際、人様を前にして、同じこと言えるのか?」ってことを平気で発言ポーンしています。

 

 そんなX(旧Twitter)ですが、先日、「病院を訴える!」という投稿がありました。

 

 どうやら、お子様が、夜の頭を怪我して、その治療してくれる病院を母親が探したけれども、ほとんどの病院に断られたから、断った全部の病院を訴える滝汗という内容でした。

 

 まぁ、母親のお気持ちは分からなくは無いのですが、断る医師や病院の事情もあると思います上差しビックリマーク

 

 まず、医師が専門外の治療をすることは、医師にとっても、患者様にとっても、リスク爆弾があります。

 

 医学生は、6年間勉学に励み、その後、医師国家試験を合格することで医師になれます。国家試験の範囲は膨大でして、あらゆる科の勉強をします。

 

 国家試験を合格すれば、研修医となり、いくつかの科で研修を受けますが、全科目の研修は行いません。研修後は、自分の専門を決め(たいてい1つ)、内科や整形外科、脳外科等で、さらに経験を積むわけですね。数年間、その科で、経験を積み、専門医試験に合格すれば、ある程度一人立ちできる専門医として患者様としっかり向き合えるウインクのです!!

 

 専門医になるまで、卒後10年ほどでしょうか。その10年の間に、国家試験に向けて勉強したいろんな科の記憶は徐々に曖昧になってきます。

 

 従って、いくら、学生の頃に、勉強をしたとしても、自分の専門分野外のことは、年とともに徐々に忘れますダウン。その代わり、自分の専門分野に関しては、日々勉強をして精進します爆笑ビックリマーク

 

 皆さん、高校の時に習った積分とか、古文とか、今でもできますか?試しに、1年に1回ある共通テスト(旧センター試験)を解いてみて下さい。なかなか難しいですよ~笑い泣きビックリマーク

 

 

 私が医師になって、数年後に、臨床研修制度が拡充され、私の頃よりも、いろんな科を診ることができる医師が増えたようです。それは、患者様としては、メリットは大きいと思います。イメージとしては、総合医・家庭医でしょうかね。

 

 いろんな訴えの患者様に対して、包括的に精査を行い、診断を下し、治療を行うようなドクターです。ただし、その場合でも、手に負えない疾患の場合は、最終的には、各専門医に紹介上差しするかと思います。

 

 ここで問題となるのは、総合医であっても無かろうとも、見落としや、精査や治療中に合併症が起きたりして、訴えられる可能性があるのです上差しビックリマーク

 

 今回のX(旧Twitter)の件でも、頭の表層の怪我だけ、処置して、実は、頭蓋内出血びっくりが起きていることもあります。「であれば、CT撮影すれば良いのでは?」と考える方もいらっしゃると思います。

 

 その場合でも、まず、子供は、CT撮影時におとなしく、動かずにいれるか?という問題があります。頭と体が狭い所に入ります。狭い空間って、大人でも苦手な場合がありますよね。

 

 どうしても、CTすべきという医師の判断の場合は、子供でも、注射剤で鎮静させて撮影する手法もあります。しかしながら、実は、鎮静剤で、副作用やアレルギー反応が起きる可能性真顔もあるのです。

 

 小児科がある病院では、鎮静することができても、普段、小児を治療していない病院では、しかも、スタッフが少ない夜間に鎮静をかけるドクターには荷が重すぎます。

 

 仮に、日中、たくさんドクターがいる子供専門の病院で、副作用やアレルギー反応が起きて、それに対して、いろんな治療を行い、それでも、重篤な状態になった場合、その医師や病院は、訴えられることがあります。例え、事前にリスクの説明や同意を得ていても滝汗です。

 

 とあるネットで、弁護士さんが言っていますが、「手術・検査・処置に同意の上、同意書にサインいただいても、医師が負うことになる責任の一切が免除されるわけでは無い」ようなんですねぇ・・・チーン。法律って難しい・・・滝汗

 

 

 救急を受け入れる病院側としても、満床の場合、断ることもあります。空室があるけれども、標榜に小児科が無いのにも関わらず、子供を受け入れてしまい、その結果、すぐに入院が必要となる可能性があります。入院しても、誰がその子供を診るのかという話になりますよね。「では、すぐに他の病院へ紹介すれば良いのでは?」という意見もあるかと思います。

 

 夜間の紹介は、わざわざ医師が、受け入れてくれる病院にTELをして、その病院のドクターと直接交渉する必要があるのです上差し。それがすぐに決まる場合もあるし、数時間経っても、見つからないこともあるのです。その間に、待機中の患者様の容態が急変することもあるのです。

 

 そして、その電話をしている間は、他の救急対応が完全にストップパーします。「救急車119を呼んで探してもらっては?」という意見もあるかと思いますが、それは、救急隊は拒否します。救急隊は、予め転院が決まった場合に限って、動いてくれるのです。

 

 救急隊は、迅速に患者の元へかけつけ、医療機関へ搬送するという任務がありますので、当然ですねウインク。電話番ではありません。

 

 

 治療をしても、訴えられる可能性がある医師・病院からすると、夜間に子供の治療を断りたくなる事情というのは、上記の理由があるからですね!!

 

 

 昔、民間病院で当直をしている時に、「顔を怪我した患者がいるから、搬送しても良いか?」という救急隊からのTELがありました。救急隊も、手慣れたもので、いろんな病院への搬送を断られ続けた場合は、なんとしても、次の病院では受け入れてもらいたいのか、しばしば、情報提供を絞る場合ムキーがあります。

 

 具体的に言うと、その患者様は、飲み屋のママさんで、酔っ払って階段から転落したために、顔に20㎝くらいの傷ができた方でした。しかし、実際、救急隊からの情報は、「年齢〇〇歳、女性で、転落して顔に少し傷がある」というものでした。

 

 この患者様の対応は、大変でしたよ~えーん

 

 まず、救急隊が以下の情報提供をしていないことが問題でした。

 

 ①飲酒していること。かつ、相当な酔っぱらい。

 ②傷は、相当長く・深く、縫合が必要であった。

 ③職業が飲み屋のママ。

 ④付き添いは同僚で、同じくアルコール多飲。

 

 この詳細な情報提供が事前にあれば、私、断っておりました~。まず、当直ドクターが私一人しかいない状況(他には、電話番の方1名、病棟から必要な場合に下りてくるナース1名と放射線技師1名)です。酔っぱらいの縫合は暴れることもあるのですよね爆弾

 

 少しの傷ならば、消毒して終わりなんですが、深い傷の場合は、縫合が必要ですね。縫合が必要か否かは、救急隊が見て、絶対分かるはずの傷でしたから、救急隊は、それを隠蔽プンプンしたのでしょうね。

 

 縫合に際しても、麻酔が効きすぎて、意識が無くなることもありますし、逆にお酒を普段から飲んでいる方は、麻酔が効きにくいこともあるのです。麻酔が効かなれば、痛くて、暴れて、縫合できませんから。

 

 あとは職業ですね。顔が命の飲み屋のママさんです。傷跡が残れば、仕事できませんから・・・。それこそ誠心誠意、酒臭い中でも一生懸命縫合したとしても、跡が残ったと、訴えられる可能性があるのです。ちなみに、顔面の傷は、整形外科の分野ではなく、形成外科の分野なんですよね。

 

 同僚の方もご本人も、「痛い~!!!」「顔が~!!!」「綺麗に縫ってくれ~~!!!」とか、アルコール臭プンプンで、ずっと叫んでいましたショボーン。はっきり言って、付き添いの方、縫合の邪魔でしたが、その場から、離れてくれず・・・。

 

 

 結局、この方は、事後報告ですが、後日、形成外科にて縫合やり直しした様です。私や病院は訴えられずに済みましたが、嫌な思いをした当直の1つでしたショボーンビックリマーク

 

 この1件から、私、専門外のことは、診てはダメ、専門分野でも、人手不足の時は、治療してはダメという認識になりました。そして、救急隊の話は、あちらからの話だけで決めるのではなく、患者様の背景をしっかり伺ってから、受け入れるか受け入れないかを決めるスタンスに変わりました。

 

 

 今回のX(旧Twitter)での母親の投稿に対する、医療関係者のコメントのほとんどは、私と同意見でした。

 

 いわゆる委縮医療(防衛医療)は、そもそもは、訴訟されるリスクから、医師や病院が身を守るためにできたようなものなのです。この母親が、病院を訴えるということで、ますます委縮医療(防衛医療)に拍車がかかると思われます。救急対応する病院も、リスクを恐れて、救急対応不可にするかもしれませんね。

 

 極論ですが、応召義務があったとしても、専門外であれば、診る必要は無いと、わたくし思っています。もし、応召義務が優先されるのであれば、国は、医師を守る法律を整備して欲しいですね。医師は、困った患者様の手助けをしたいのですから・・・。

 

 

 

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