我が子が精神科の世話にならぬよう親がすべきこと①は「まず親が不安マネジメントを身につける」です。

人生を複雑で厄介なものにするのは不安です。不安はゴキブリやハエと同じで1匹でも許せばみるみる増殖し、時に被害妄想レベルの怪物に成長し、しまいには手に負えなくなります。なので1匹すら許してはいけません。ゴミは少ないうちに処理すれば散らからないのです。

人生のさまざまな場面で湧きおこる不安を自分でうまく処理できないと、不合理な考え方に囚われ、その不合理な考え方は強化されます。親が不安マネジメント能力を磨いてさえいれば、子どもの「あれやこれや」「やることなすこと」にいちいち不安を感じることなく寛容に対処できます。そのためには身の回りの物を減らすとか、床にモノをおかないとか、そういう具体的不安管理方法を子どもが生まれる前から親が実践し、子供が生まれてからは子どもと一緒にやっていくセンスが必要です。センスが必要なのです。

②は「子どもを自分の思い通り動かそうとするのをやめる」ことです。

「たとえ相手が夫婦や親兄弟、子どもであったとしても、自分以外の他者を、自分の思い通りに動かすことはできない」は人間関係の大原則です。自分の人生を複雑にしないための知恵です。こういうことは親が子どもに教え伝えなければなりません。知らなかったということのないようにしたいものです。これを知らずに育った子どもは後の人間関係に非常に苦労します。

親の「他者を操作しようとする悪癖」もまた、子どもに引き継がれます。そういう面倒くさい性質を身に着けた子が、小学校で徒党を組み縄張り争いをしたり、自分の言うことを聞かない子を締め出したり虐めたりする。この性質がその後、子供自身の精神を蝕んでいきます。「他人の悪口を垂れ流す」のはその最初の兆候です。なので、子どもが誰かの悪口を言い始めたら、親は自分の行動を省み、自分の悪癖を直してください。

他者を自分の思い通りに動かそうとする人は、自分を信じられず他者を信じられず、常に「疑い」から人間関係を始め、「死にたい」をちらつかせて相手を脅したり、四六時中一緒にいたがったり、それが叶わないと不安に翻弄され、頻回にメールや通話をしたり、自分だけに強い関心を持ち続けるよう強要します。相手の行動を制限する誓約書を書かせたりすることもある。これらは全て、自分以外の他者を思い通りに動かすことはできないというルールを知らずに育ったせいです。それにより苦しむのは子ども自身です。自殺したりする場合もある。もっとまずいのは他人を傷つけたり殺してしまうことです。