自責と他責は表裏一体です。自責の強い人は、相手や状況次第で簡単に他責になります。この性質は生きていく上で非常に面倒くさい。心のエネルギーを浪費し人間関係を破壊します。心のエネルギーの源である信頼関係を築くことができなくなる。なのでこのような性質はとっとと手放すべきだし、身につけないに越したことはありません。もちろん我が子に受け継がせることのないようにしたいものです。


知っての通り、子育ては誰かから褒められるものではありません。そもそも何故「褒められたい」と思うのでしょうか。それは勉強と同じで子育てを苦行と捉えているからです。人は苦行には餌を求めがちになります。では何故子育てを苦行と捉えるようになるのか。理由はいくつもありますが、3つあげるなら① 他者を自分の思い通りにしようとする性質 ② 他者との比較思考 ③ 正解を求める思考です。子育てをする上でこれらは百害あって一利なし、出来るだけ手放さねばなりません。一方、是非身につけたい性質が「自分の頭で考える」「自分で工夫したり作ることに喜びを感じる」性質です。これらは子育てのみならず生きる上で必要かつ有益な性質なのです。なので是非とも我が子に受け継いでもらいたいものです。佐藤ママの子どもさんたちはひとり残らずこの性質を受け継いだに違いありません。


「自分を責める」は、子育てに携わる親の「対処すべき自分自身の問題」です。昨晩記事に取り上げた女性は、とりわけその気持ちが強く、自分の思い通りに動いてくれない子どもに暴言暴力に及んでいました。冒頭に述べたように「自分を責める」と「他者を責める」は表裏一体です。最初は「自分を責める」だけであっても、次第に「他者を責める」気持ちが大きくなり、遂には行動化します。なので「自分を責める」習慣は子育て前に善処しておかねばなりません。この女性に私が行った治療は以下の3つの考え方を理解し獲得するセッションです。治療の軸となるのは「話を聞く」であることは言うまでもありません。


① 失敗は学習の機会(恩恵)。「むしろ失敗しなくちゃならない」「失敗からでしか学習できない」と考える。
② 自分を他人を比べない。比較思考を止める。そうではなく過去の自分と今の自分を比べる。
③ 正解はひとつではない。唯一の正解はない。複数の正解を考える。


今回は最初の3つだけを引用しましたが、齋藤孝先生の「本当に頭がいい人のメンタル習慣100」に書かれていることばかりです。気をつけねばならないのは、「コレをやれば自分を責めないようになる!」という唯一の方法は存在しないということです。当たり前ですが、人間の思考癖はそんな単純なものではありません。③で警告しているように「唯一の正解」を求める姿勢も、自分で自分の首を絞める原因になります。ざっくり言えば「自分で自分の首を絞めるような考え方や行動様式はどんどん手放しましょう」ということです。なので、毎朝紹介しているメンタル習慣をただ読んで終わりにせず「とにかくやってみる」、今自分の置かれている状況で、それらの習慣を「どう使うかを具体的に考える」をやってほしいのです。羅列された方法を読んだだけで、「ふんふん、そうなのか、勉強になった」で終わっては困るのです。知識は使わなければ意味がありません。繁田先生が強調するように、アウトプットのヴォリュームを増やすことが大事なのです。ここは非常に大事です。くどいようですが「勉強になった」で終わってはいけません。


動画の冒頭でDaiGoさんはセルフコンパッションという概念に触れています。セルフコンパッションとは、自分への慈しみを意味し、自分自身を大切に思うこと、とあります。多くの人が「ありのままの自分を受け入れる」と表現するのも、セルフコンパッションに含まれます。ただ、言葉で言われても、現実的にピンとこないという人もいるでしょう。実際はそういう人の方が多いと思います。ここがひとつ注意するところで、言葉で理解することと、自分という個人に適用するのは別ということです。一般的には「自分を慈しむこと」と言われていても、個人個人で、その感覚や実践方法は違います。皆と同じはあり得ないし、誰かの真似をすればいいというものでもありません。これこそがアイデンティティであり、自己肯定感の源泉になります。