毎日どれくらい勉強したらいいんでしょうか?という質問はアカの他人聞く質問ではない、ということはすでに何度も説明しました。「どれくらい」は子どもによって違うからです。算数の問題10問を解くスピードは子どもによって違うし、理解度も丁寧さも違います。どう考えても「何時間やればいい」「何問やればいい」などと一概に言えるものではありません。なので質問されても答えようがないのです。佐藤ママはどのように答えるか、見てみましょう。


よくコツコツとか言うんですけどね、私コツコツって大嫌いでね、勉強を苦役のように頑張る感じをコツコツやるとか言うじゃないですか、それって、私はやる時にはガッとやって、やらない時にはやらない。コツコツっていつもやってる感じがするでしょ。それは鬱陶しくて結局一番効率が悪いやり方なんですよね。やる量とやる時間を決めてガッとやって完成させたらあとは何もしない。メリハリをつけるってことがすごく大事。子どもはやることがわからないので、お母さんが決めるってことですかね。

いかがでしょうか。佐藤ママは質問者の「どれくらい」には答えていません。最後に「お母さんが決めるってことです」と述べています。それより「コツコツ」の方にツッコミを入れています。理由は簡単で、コツコツという言葉から受ける印象が「鬱陶しい」からです。「コツコツ」という言葉を聞いた者の気持ちは、あまり良い印象ではないということです。佐藤ママは子どもが気持ちよく勉強できるよう可能な限りの工夫をした人なので、このように、使用するワードについても注意を払ったのだと思います。

こうやってみてみると、親の勉強に対するマインドは大事です。勉強を苦役のように考えている親は、使用する言葉までネガティブなものになりますから。使用する言葉がそうなら、表情も言い方もそうなってしまうでしょう。そういう言動を毎日聞いている子どもは当然「勉強ってすごく辛いものなんだ」と感じてしまいます。勉強嫌いになるのは当然、すぐに取り掛からないのも当然です。こういう「勉強にまつわる親の価値観」が子どもを勉強好きにするか勉強嫌いにするかを分けるひとつのファクターになるのは事実だと思います。

佐藤ママが何度も言うように勉強の成果は時間ではありません。できるだけ短く済ませようという工夫や、いかに子どもを嫌がらせずに勉強に向かわせるかの工夫が大事なのです。