子どもの健康的な心身の発達を最も脅かすのがネグレクトです。親や世話人からの機敏な反応の欠如です。特に乳児期のネグレクトは、肉体的な虐待よりも長期にわたり害を及ぼすことがあると報告されています。慢性的低刺激といって、親が子どもにあまり反応せず、積極的に関心を寄せたり、きちんと向き合い、やりとりしないといった状況も、子どもの脳の発達に深刻な悪影響を与えます。このような理由で親の注意を奪うスマートホンは子どもの大敵なのです。

慢性的低刺激を経験した子どもは、上手に友だちをつくれない傾向があり、認知力や言語の発達が遅れ、実行機能(集中力)に問題が生じます。つまり集中力がなく、不注意で落ち着きがないといったADHDのような症状を呈するようになる。当然学業成績も芳しくありません。しかしADHDとは本質が違うので、誤診されないよう警戒が必要です。逆に担当した精神科医が問診で、暴力や暴言、支配、干渉、ネグレクトについての有無を聞いてこなかったら、その精神科医の診断を信用するのは危険だと思います。