繁田先生の動画です。不合格になりやすい母親の共通点と表現されていますが、これは受験だけに限りません。子どもの長い人生の至る所に影響するということを申し添えます。

① 感情的に叱ってしまっている
② 勉強を教えすぎてしまっている
③ 子どもの意見を無視している

詳しくは動画をご覧になればすぐわかります。繁田先生の説明は非常にわかりやすい。特に①の「注意する内容に具体性を持たせる」については佐藤ママが散々強調していることです。とにかく具体的に指示を出さないことには人は動きません。「勉強しなさい」「頑張りなさい」「集中しなさい」では何をどうしたら良いか具体的にわからず動けなくて当然です。逆に、勉強のとっかかりが円滑な子どもの親は「指示に具体性を持たせる」術に長けており、かつ、言われた者が「やろう」という気持ちになる言い方をしています。従って、こういう術を親は日々磨き続ける必要があります。勉強だけに限りません。子どもに某(なにがし)行動を促す際の親の「言い方」や「表情」は生活の至る所で効果を発揮します。精神科医の私に言わせれば、このような親の術が子どもの自発性の基盤になると言っても過言ではありません。大人になり「仕事にやる気が出ない」と訴える人の多くは、やるべきことを細かく分割し優先順位をつけ具体性を持たせる能力を欠いている人がとても多い。やる気は自然に湧いてくるものでなく、やっているうちに後から加速するものということは今や周知の基礎知識ですが、行動に移せない一番の理由は「最初に何に手をつけていいのかがわからない」というのが専らではないでしょうか。自分が動きやすいものを最初に持ってくることができないのです。このような思考習慣は親の習慣が子どもに受け継がれ形成されます。指示の出し方が巧みな親の子どもは大人になった時、あらゆる場面で自分の行動に具体性を持たせるのが上手いので何につけても「行動できる」大人になります。








動画の最後の部分で繁田先生は次のように述べています。

中学受験って、本当に難しくて膨大な量の課題をやらなくてはいけない、幼い小学生にとっては大変な試練なんです。だからこそ親の関わり方次第で中学受験の明暗は分かれるのです

この部分がすんなり理解できる親と「言葉は分かるけど腑に落ちない」親では明暗が分かれます。やらなければならない量が膨大だからこそ、取捨選択し優先順位をつける必要があるし、時間やエネルギーの浪費も避けなければなりません。闇雲に力任せにやっても一部の能力値の高い子はどうにかなるでしょうが、多くの子はそういうわけにはいきません。上手にやるしかないのです。「上手にやる」というとノウハウやコスパのことばかり考える人がいますが、そういうことではありません。親の思考行動様式が大事ということです。親が子どもとの関わりを通じ、適応的な思考行動習慣を受け継がせることが大事なのです。

実際に私が行ったやり方を紹介します。子どもに勉強を促す際、あらかじめ問題を3つ準備し、その3つを子どもの前に並べてみる。そして「どれからやりたい?」と言って子どもに順番をつけさせる。子どもは子どもの基準や判断で順番をつける。あるいはテキトーに順番をつけるかもしれない。しかしそこは不問で良い。それより「選ぶ」→「始める」という手順が「とっかかり」をスムーズにするという体験を経験させるのです。実際「勉強しなさい!」より「どれを選ぶ?」と言われる方が「とっかかり」はスムーズです。やってみてください。