終わった試験の結果をいつまでも引きずる人がいます。中学入試でも大学入試でも、終わった試験の結果を引きずる悪癖は未来の試験に悪影響を及ぼします。今回の動画にも1月の渋幕に落ち2月の麻布に合格した学生が出演していますが、試験ってね、どれだけ自分が頑張っても落ちる時は落ちるんでね、ということを子どもに理解させておく必要があると私は考えます。こんなことは対戦相手のあるスポーツじゃ当然のことなのに、何故か入学試験では忘れられがちです。「どれだけ自分が頑張っても落ちる時は落ちる」と考えれば、試験本番の前日の時点で、本質的な試験は終了していますから、試験前日に「よく頑張ったね」と誉めてあげればいい。「準備をやり切ったお祝い」と称し、美味しいものを作ってホームパーティーでもしたらいいんですよ。その方がよほど良い結果になります。緊張や不安に塗れたままどんよりしたムードで食べる本番前夜の食事なんて、それこそ落ちますよ。

うちは長男も次男も第1志望校しか受験しませんでした。あらかじめ「落ちたら地元の公立に行く」というシンプルな論理を決めていたのが結果的に良かったと考察します。おかげで全然緊張していませんでした。試験後も「できた」と言って試験の話は終わり。一方3つも4つも受験したりする子は当然疲労するし、ひとつふたつと連続で不合格だったりしたら、心理的に追い詰められ、それはそれは恐怖を味わうことになります。たかが試験でそんな恐怖を味わう必要があるのでしょうか。私はないと思いますね。

落ちちゃいけない試験なんて、ただのひとつもないんですよ。落ちたっていいんです。死にはしません。落ちちゃいけないと考えるのは親とその考えに影響を受けた子どもです。他の人はキミの合否など他人事です。ダメなのは落ちたことや出来なかった試験のことをいつまでもウダウダウダウダ引きずることです。モハメドアリは次のように述べています。

問題は倒れることではなく、立ちあがろうとしないことだ。

倒れること(試験の出来や結果がよろしくないこと)がダメなのでなく、立ちあがろうとしないこと(いつまでも結果を引きずりメソメソしていること)がダメなんだということを親は子どもに必ず教えましょう。これは人生哲学です。これを教えないとその子どもは試合や試験にビビり続ける子どもになってしまいます。そんなメンタリティでは学校教育期間の後、仕事をするようになった時、やっていけませんから。