佐藤ママのような優秀な子供をお持ちの方や著名な先生方は「低学年のうちはしっかり遊べ」とおっしゃる方が多いのですが、周りはどんどん先取りをしていたり、公文を勧めたり、検定を取ったり、焦りばかりが募ります。この不安をどう乗り越えていけば良いでしょうか?

というのが今回の相談です。キーワードは「親の不安」です。

不安なんだからやったらいいじゃないですか。うちは遊ばせることは主にしましたけど、公文はしっかり進めましたから。

だからね、焦るんだったら(勉強)したらいいじゃないですか。

長い人生で考えると、小学校1・2年のうちは遊ばないとね。あの時にぎゅうぎゅうで詰めるとね、子供って疲れるんですね。人生に疲れるんですよ。




けども、させないとね、親も子も焦るっていう状態に持っていくのは、面倒くさいんですよ後々。今も面倒くさいでしょ焦ってるんだったら。焦るんだったらやんなさいよって話です。

読み書き計算を先取りは大事。例えば隣の子は小5まで先取ってて、自分の子どもは小3だからって、そんな焦りはいらないから。先取りのスピードとかを焦るのは、それはただの「親として愚か」ですから。子どもに合わせて先取りしたらいいだけの話なのでね。


いかがでしょうか。大事なのは「先取りのペースを他人の子どもと比較して焦るのは愚か。子どもに合わせて先取りしたらいい」ということです。根本的には「他人との比較思考」をやめましょうという話です。比較思考に親が囚われると、ついつい他人の子どもと自分の子を比較するような文句が出てしまいますから、するとその子は、他人との比較思考が更に強化された大人になってしまいます。他人との比較思考に囚われた子どもが後にどうなるかは、これまで何度も説明してきました。


親の不安や焦りは子どもを疲弊させます。疲弊は令和の子育てのキーワードですから、避けなければなりません。灘高校の木村先生も本でしっかり警告しています。小学生の子供を疲弊させる弊害を、です。私も精神科診察室でたくさん見てきました。弊害なんて生易しいものではありません。地獄を見ることすらあります。佐藤ママが「人生に疲れる」と表現するのはまだマシな方です。

今回の相談の本質は「幼少期は遊ぶのが大事」という情報と「先取りが大事」という情報の間で右往左往し、不安に翻弄されている点です。では佐藤ママがそんなことで右往左往し不安に翻弄されていたかといえばそうではありません。この差は何かということです。そこに目を向ける必要があります。