毒親という表現の是非はさておき、毒親というのは子どもに悪影響を与える親です。更に言うなら、子どもに悪影響を与えることに気づかない親、自覚のない親です。これは非常に大事な点です。

① 健全な親は子どもの気持ちになれる、毒親は子どもの気持ちがわからない
② 健全な親は謝る、毒親は謝らない
③ 健全な親は子どもの心配をする、毒親は自分の心配をする
④ 健全な親は子どもを差別しない、毒親は特定の子どもだけ差別する
⑤ 健全な親は気づける、毒親は気づけない

①から⑤は、基本的には同じことです。③を取り上げます。

健全な親は子どもの心配をしても多くの場合、見守ろうとします。毒親は自分が心配だからという理由で子どもの行動を全力で阻止しようとしたりします。そういうことを子どもがいい大人になっているのにやろうとするのが毒親の特徴です。心配だからという理由で子どもの行動を阻止しようとするのは「心配」ではなく「支配」です。そういうことをする親は子どもの心配をしているわけじゃなく自分の心配をしているだけです。毒親は子どもに共感したり励ますということができない人が多いのですが、それは自分の心配ばかりしているからです。

自分の心配ばかりしているというのは、自分のことしか考えていないということです。スマホ歩きはその典型です。渋谷の交差点で横断歩道を歩く女性が左折しようと徐行運転しているバスに自分から体当たりし転倒した動画が話題になっていますが、寄せられたコメントのほとんどが歩きスマホへの非難です。「いい加減にしろ」です。ようやく歩きスマホが<自分勝手の権化>という認識が広がりつつあります。歩きスマホ者はスマホ画面しか見ておらず他を全く見ていません。周囲に注意を向けないということは「他者に体当たりする」など周囲に迷惑をかけ、挙げ句の果ては自分が大怪我するなど自分自身の首を絞めます。自分のことしか考えないとはそういうことです。

子どもの行動を阻止しようとするのは支配です。そういうことをする親は子どもの心配をしているわけじゃなく自分の心配をしているだけ。<あなたのためは呪いの言葉>と言われる所以がこれです。自分の心配ばかりしている人の多くは自分の不安に翻弄されている人です。不安処理が下手ということです。親になるべき人間に不安処理能力が求められる理由がこれです。しっかり不安処理能力向上に励んでください。特に子どもを中学受験に挑ませようとする親は並々ならぬ不安処理能力が求められます。ストレスのかかり方が尋常でないからです。勉強時間がどうとか、勉強方法がどうとか、そういう枝葉末節に気を取られる暇があるなら、こういう本質を理解し必要な能力を会得することを優先してください。その方がよほど子どもの成果・結果に貢献します。遠い未来のことをあれこれ悩むのでなく、目の前の子どもの表情や態度・行動をよく観察し、子どもの心の内を読み取ることに時間やエネルギーを割いてください。佐藤ママが、公文の宿題を長男にやらせるタイミングを見計らうのに心を砕いたエピソードを思い出してください。佐藤ママは生まれて初めて宿題というものが生活に登場する時の長男の気持ちになっていました。そういうことに心を砕いたり配慮できる親になりましょう。