どのように情報収集をなさって来たのでしょうか?著書で「一匹狼は美しい」とママ友に依存しない子育てを推奨されておられましたが、仮にママ友がいなくても有益な情報を入手できるものでしょうか?現在1歳4ヶ月の息子がおりますが、進学を考える上で手本にさせていただきたいです。具体的にどのようにすればいいのか、御指南をお願いいたします。

いかがでしょうか。子育てや受験に関する情報収集についての相談です。「ママ友がいなくても有益な情報を入手できるものでしょうか?」という部分ですが、できますよ。佐藤ママの言うように新聞や本を読めば。勉強のことなら教師や塾の先生に聞けばいい。当たり前ですが一般人がもたらす情報より専門家から直接得る情報の方が信頼度が高いですし、新聞や本なら情報の蛇口を自分でコントロールできるので、情報過多に陥る危険性がない。他人の話やスマホ画面から情報を得ようとするから情報過多に陥り、右往左往し、不安に翻弄されることになるのです。なので情報の蛇口こそ自分でコントロールしなくてはなりません。従って、情報収集をするためだけのママ友なら、私は「要らない」と考えます。

子育て中の親が必要なのは「自分の話を聞いてくれる人」です。情報をもたらす人ではありません。自分の話を余計なアドバイスなどをせず、ただ聞いてくれる人は極めて大事です。子育てに限らず精神の安定を図る上で不可欠です。私は精神科治療を始める患者全員に、

自分の話をただ聞いてくれる人はいますか?アドバイスや意見をせず、ただ聞いてくれる人です

と質問するようにしています。私は出産前に「話を聞いてくれる人」を数人確保しました。出産も子育ても未経験の、非医師の友人です。子育てをする上で「自分の話を聞いてくれる存在」の有無は精神状態を大きく左右します。不安に翻弄されないようにするために是非、ひとりふたり確保してください。

話を戻します。情報に翻弄されないために全ての人がしなければならないのは、やたらと情報を得ようとしないことです。多くの人は「情報」というと「知らないと損をする」と考えがちですが、精神科医としてはその逆で「知ると損をする」リスクを強調したい。私の経験では、知らないと損をする情報を知人がもたらすことはほとんどありませんでした。ママ友の中に「子育てのキモは子どもの人格を尊重し良好な親子関係の構築を最優先すること」という話をする人がいるでしょうか。「子どもを勉強嫌いにしないようにするには、最初のうち、子どもが「嫌っ!」と言い出さないよう、薄紙を重ねるように慎重に誘導する」といったことを教えてくれる人はいるでしょうか。指導医松下先生でもそんなことは教えてくれませんでしたよ。良質な情報は自分で選ぶしかありません。その際大事なのは盲信しないことです。人というのは色んなことを言います。常に信頼度の高い情報だけを発信する人など見たことがありません。なので他者が発信する情報を鵜呑みにせず、いったんは自分自身で精査検討する必要がある。動画内で佐藤ママも言っていますが、とりあえずやってみて、上手くいくかどうかを注意深く観察し、上手くいかない時は「どうしたらうまくいくだろう」と自分の頭で考え工夫する、そのような姿勢を積み重ねることで「選ぶ力や情報処理能力」が向上していくのです。