モンスターペアレントという言葉が登場して久しいです。ざっくり言うと無茶苦茶な要求をする親です。もちろん子どもの親だけではありません。老若男女問わず、自分勝手で無茶苦茶な要求をする人が後を絶ちません。増え続けている印象です。というのは精神科でも無茶苦茶な要求はエスカレートの一途をたどり、今では診断書に書く診断名(病名)にまで難癖をつける人が出て来たからです。「病名を変えてほしい」に始まり「日付は入れないで欲しい」「仕事のせいで病気になったと書いて欲しい」「休職中は会社からの電話やメールをしないよう書いて欲しい」、、、とキリがありません。正真正銘の我儘です。

無茶苦茶な要求をする人の精神の具合が悪いのは当たり前です。無茶苦茶な要求をしていることがわからないのですから、社会生活の至る所で支障が生じます。特に人間関係でのトラブルが目立ち、そういう人はしょっちゅう「理不尽理不尽」と言っています。しかしこれも当然で、そんな自分勝手で無茶苦茶な要求をするのが「当たり前」とする価値観と社会のコモンセンスの間には大きな隔たりがありますから、社会的に「当たり前」なことが、彼らにとっては全然当たり前でなく「理不尽」となるわけです。

モンスターペアレントの子どもは不幸です。そういう歪んだ価値観の親に育てられることで、歪んだ価値観を身につけてしまうからです。おまけに情緒不安定だし、自己操縦感も乏しい。当然自己肯定感は未熟。精神の具合が悪くならないはずがありません。精神科外来にも日に数人必ず来ます。常に不機嫌でイライラし色んなことに文句ばかり言っている人が。そして自分の要求が通らないと泣く、叫ぶ、怒鳴る、暴れる始末。社会生活できるはずがないのです。無茶苦茶な要求をした覚えのある人は注意してください。それは自分だけの問題に留まらず、子どもに、一層強化されて歪んだ価値観が踏襲されるのですから。