八方美人は「この人との関係はこう」と決められないで、誰彼構わず皆に良い顔をしようとする、そしてそれができなくて悩む。結局無理をするだけで誰からも本当には好かれない、信頼されない。その結果、周りにいるのはユーザーばかり。つまりその人を利用しようとする人ばかり。

また心の整理学は悩みの原因をはっきりとさせることでもある。その原因は自分の心の中にあることも多い。明日の講義が心配で夜も眠れない教授が世界中にいる。明日の講義がうまくいかないと自分の生活に何か影響があるか?親しい人に迷惑をかけるか?人生に希望がなくなるか?そう自分に問いかけていくと、単に自分が失敗を恐れているだけということがわかる。つまり学生からよく思われたいという自己執着が悩みの原因だとわかる。人からよく思われて何か良いことがあるか?何も良いことはないのだけれども、自己執着が激しいとそのことで悩む。

「人間というものは複雑な動物である。多くの時間を何かのために煩わされながら、一体何が自分を煩わしているのかを知らないのである」


いかがでしょうか。大事なのは黒太、赤字です。精神科外来でも感じますが、精神科に訪れる多くの「具合の悪い人たち」は、何故、自分が精神科に訪れるほど具合が悪くなっているかに気づいていません。ここが最も問題なのです。具合が悪くなっている理由を自分自身が見えてない。当然原因は放ったからしです。これでは具合が良くなることはありません。「他人の目が気になる」と言って泣いているのに、「皆によく思われたい、嫌われたくない」と言い続けるのです。個人の価値観にもよるでしょうが、「あれもこれも」で良いことはほとんど何もないと私は思っているのですが、皆さんはいかがでしょう?それに、他人から見た自分の中に「嫌いと思われる部分のひとつやふたつある」というのは、そんなの至極当たり前なことで、ひとりの人の中にある様々な要素のうち全部が他人に好かれるということなど通常あり得ないと思うのですが。