幼児教育に限らず子どもの教育全般について唯一の正解がないことはすでに何度もお話してきました。厄介なのは、それでも尚、その「唯一の正解」になろうとしてさまざまな「メソッド」が次から次へと発信されることです。これが情報洪水と言われる所以です。それでは何故、さまざまなメソッドが次から次へと発信されるか。理由は簡単で多くの人が「唯一の正解」を探し求めているからです。つまりそこに経済的需要があるということです。需要があれば供給すれば儲かるわけで、要はそれぞれの発信者が自分のメソッドを選ばせようと躍起になり「これでもか」という具合に講釈を付けて情報を垂れ流している、これが今の教育業界を混乱させている元凶です。X(旧ツイッター)とかと同じということです。

数学や物理の勉強を通じある程度論理的思考を身につけた者なら、このような状態をどのように解釈対処したら良いかは高校生でもわかります。それをひろゆき氏が説明しています。「既に効果有りと科学的に検証されたものはとっくに文科省のカリキュラムに組み込まれていますよ」ということです。玉成混交のメソッドのうち突出して効果有りと検証されたものがあれば、とっくに世界的ニュースとなり、そのメソッドが独り勝ち状態になっているはずです。しかしそんなものは存在しないのですから、唯一の正解はないということです。今回の動画の冒頭に出てくるモッテッソーリ教育についても然りですし、幼児教育コペル代表の大坪氏が「ヨーロッパ諸国では幼児教育が義務教育化され前倒しになっている」ことを引き合いにして行った「幼児教育前倒しの必要性」についての説明にしてもそうですが、いかにも正しそうな言い方をしているためついつい鵜呑みにする人が数多くいそうだけれども、ちょっと考えればツッコミどころ満載というのが現状です。なので、情報を浴びる人たちはそこら辺のことは必ず押さえた上で情報を受け取り自分の頭で考え評価する必要があります。

私の個人的意見を申し上げますと、モンテッソーリがどうとか非認知能力がどうといった、そういう各論的な話以前に、まずは親が子どもの話をちゃんと聞き寛容に受容する、とにかく子どもに話をさせる、といった根本的な部分が出来ていなければ何もならないということです。親が子どもの発信に敏感に応じたり、抱っこをして体をゆらゆらして宥めたり、一緒に遊んだりご飯を食べたりお風呂に入ったりという親として「至極当たり前にすべきこと」をちゃんとせずに、ノウハウに飛びつこうとする安易さをどうにかしましょうという話です。そして、これは動画で複数の方がおっしゃってますが、子どもの教育云々を論ずる前に「親の教育」をちゃんとした方がいいということ、これはマストだと思います。「こういうことはやめましょう」的な指導や、情報取扱についての教育、不安処理の教育などなど、そういったことについてまず親を教育しないことには、どんな優秀なメソッドも活用できず意味がないという羽目になってしまいます。

まとめると「子どもにどのような教育を与えるか」をあれこれ思案する前に、親が子育てに必要な知識やスキルを身につける教育が先ということです。子育てにまつわる様々な問題課題の原因の多くは子どもよりむしろ親の方にあることは知っておきましょう。