負けたんはええから、何が良くて何があかんかったか言うてみろや

まず「負けたんはええから」これ大事ですね。過去の結果は何をどうしたところでひっくり返りません。ウジウジ引きずるだけ無駄です。そんなことをしている暇があるなら「冷静に振り返れ」ってことです。夫は息子たちに試合を振り返らせる時、決して悪いところだけを振り返らせることをしませんでした。まずは「何が良くて」を先に言わせていた。結果に囚われすぎる癖を身につけぬようにするために、これはとても大事だと思いました。負け試合にも、良いプレイは必ずありますから。ソチオリンピックの浅田真央ですね。教訓です。

過去の経験を冷静に振り返り、評価する点や改善点を子どもなりに振り返らせる。これはもう練習です。習慣づけです。評価点改善点を拾い上げる精度や対策のレベル上げるのは先の話でいい。まずは否定的感情を排して冷静に振り返ることをやらせるのです。これはスポーツに限らずどの領域においても欠かせない能力でありスキルです。

「失敗を教訓化する」非常に刺さる言い方です。こういう言葉は覚えておきたいものです。が、精神科医として言っておきたいことがあります。振り返っているそれが本当に「失敗」なのかという話です。よく「仕事でミスをする」と言って精神科に来て泣いている大人がいますが、ミスなんてどの仕事でも普通にありますよ。医者の仕事にももちろんあります。「えっ、命を預かる仕事なのに?」と思われる人もいるでしょう。が失敗はあります。私も散々してきました。松下先生に何度叱られたことか。私が言いたいのは、「仕事でミスをする」と言って落ち込んだり泣いたりしている人のほとんどがミスそのものより、「ミスをした自分がバカにされる」とか「ダメなやつと思われる」という具合に、他人から自分の評価が下げられることをグジュグジュ言っている点です。他人の頭の中を気にしているわけです。そういう人はミス自体を振り返らず、ミスを指摘した上司の表情や言動を振り返りがちなのです。振り返るのはそこじゃないですよ。実際「そのミスはどのようにしたら減らしたり改善できますか?」と質問すると「わかりません」と答える人がもっぱらです。これは非常に由々しき問題です。ミスを振り返らず、他人の頭の中を振り返っているのですから。これはアルフレッドアドラーの言う「相手の課題」であって「あなたの課題」ではありません。あなたの課題は自分が犯したミス自体です。そこなら改善することができます。で、そのミスが本当に大人が泣いて悔やまねばならないようなものなのか?そういう評価も同時に行うと良いでしょう。