他人との比較癖がいかに人生を複雑にし、不幸に貶めるかをここ数日説明してきました。今朝の「シンプルを極める」にも書きましたが、他人との比較癖を放置すると「自分をしっかり持つ」ことができなくなります。すると「どのように生きたら良いかわからない」という事態になる。赤の他人に「私はどう生きれば良いのでしょうか?」と聞かずにはいられない状態になってしまうのです。そんなふうになったら加藤先生の言うように地獄です。

加藤先生が言うように、小さい頃に周囲から与えられた「破壊的メッセージ」で「自分はダメな人間だ」「自分は価値のない人間だ」と脳の深いところに刷り込まれ、すると他人との比較でしか自分を規定することができなくなり、周囲から自立することができなくなります。ずっと周囲に依存し続けることになる。SNSはそれを強化する装置です。接続するや、意識無意識に関わらず、ずっと他人との比較に浸り続けることになります。

子育てで親が絶対にしてはいけないのが我が子に「破壊的メッセージ」を与えることです。たった1度の破壊的メッセージがその子の人生を永久的に狂わせる話はこれまでも何度も紹介してきました。佐藤ママも動画で警告しています。「100年覚えてますから」と。なので子どもの親になる以上、そうした破壊的メッセージを口にしないと心に強く誓う必要があります。
とはいえ、親自身が他人との比較癖に囚われ「自分はダメな人間だ」「自分は価値のない人間だ」と思い続けていてはどうしようもありません。そのこと自体が破壊的メッセージとなり子どもに伝わってしまうからです。他人との比較癖も自己否定癖も長い年月を経て培われた習慣です。一朝一夕に手放せるものではありません。が、心から手放したいと願うなら今すぐ始めるより他に手はありません。私の座右の銘に「今より早い時はない」というのがありますが、時間を巻き戻すことができない以上、今始めるのが最も早いのです。過去を振り返っている場合ではない。過去の不幸に延々囚われている場合ではないのです。自分の不幸話を始めたら止まらな人がとてもたくさんいますが、精神科医として申し上げます。自分の不幸話を語るのはもうやめましょう。それをして良いことは何もありません。

「自分いじめの呪いを解く本」の冒頭に、心の中でいじめてくる「何か」は特定の人というよりも、過去に親や友人と過ごした経験から作られた「ーすべき思考」であるケースが多いと書かれています。要は過去に囚われるのをやめましょうということです。囚われ続けている過去から脱却するためには良質な習慣を身につけるより他はありません。そのひとつ目が、同書の1項に書かれており、加藤先生も述べている「本音を語る」ことです。自分の本心を偽らず本音を語る、まずこれから始めましょう。