加熱する中学入試に警告を発する人がこうも増え続けている状況を、子どもの親がどのように受け止めているか。ここが問題の中核であることを、ここ数日記事にしています。これ、めちゃくちゃ重要なことなんでね、正面から受け止めてください。

精神科外来をやっていると、時代の変化をモロに体感します。ここ10年の劇的な変化といえば「会社に行きたくない」「どう生きたらいいかわからない」「私は生きていて良いのでしょうか」と訴え精神科に訪れる人がすごい勢いで増え、いまだにずっと右肩上がりという事実です。あわせて精神の具合を悪くして会社を休職し、かつ、復職に失敗する人も同じようにすごい勢いで増えている。どんどん働けなくなる人が増えているのです。この事実から令和の親は目を逸らしてはいけません。あなたの子どもも、仕事をし始めてまもなく「会社に行きたくない」と泣きながら精神科に来る可能性が十分にあるということです。決して他人事ではありません。医者の世界で言えば、せっかく医師国家試験に通っても研修でつまづく人がどんどん増えています。ドロップアウトするわけです。彼らもまた厳しい中学受験そして大学受験を通過してきた人たちです。なのに仕事を始めてほんの数年でドロップアウトしもう2度と働けなくなってしまったとしたら、その中学受験や大学受験に意味があったと言えるのでしょうか。

今回の小川先生の動画も、そういった学校教育と社会(経済活動体つまり企業のビジネスパーソン)との「ずれ」あるいは「ミスマッチ」がどんどんひどくなっていることへの危惧と警告です。木村達也先生や林修先生が言う「役に立たない大人」がどんどん増えていることへの危機感です。親が目を逸らしている場合ではありません。

ということで、中学受験に子どもを挑ませる親のうち、その受験で一体全体子どもに何を得させようとしているか?ということをちゃんと考えている親がどれだけいるのでしょうか?という問題提起で動画はスタートします。小川先生の生の言葉を文字起こしします。

塾に子どもを通わせている親御さんのうち、「受験って何なん?」「何でうちは受験するんですか?」ということをしっかり問い直して自分たちなりのポリシーに基づいて受験学習というものをお子さんに求めている方がどれだけいるかな?っていうことが不安になったんですよ。

いかがでしょうか。この点については小川先生だけでなく色んな受験のプロの先生が言ってますよね。昔と違って今はそういう時代になったということです。私たち親世代が受験する時は、そんなことを考えなくても何の問題もありませんでした。しかし今は違う。20年30年のうちに社会情勢がめくるめく変わってしまう、今はそういう状況なのです。子どもに与える教育もその変化にあわせて変えていかねばならない、そうしないと時代遅れになり、子どもが社会不適応を起こしてしまうのです。