人生の選択肢のひとつとしての中学受験を否定する気はありません。加熱しすぎて狂気とも言える今の受験様相に否定的と言っているのです。私個人はそもそも、息子たちに中学受験をさせる気はありませんでした。なので息子たちが自ら「受験する」と言い出した時は「うわー困ったな」と思ったくらいです。なんでわざわざそんなことしたいと思うわけ?と内心思いましたよ。もっと他にやることあるでしょ、と。しかし小学5年生(次男は3年生)の息子が自ら「やりたい」と言うことを「やめなさい」と言えるはずもなく、従って「やるなら自分でやりなさいね」というスタンスで息子の選択を受容したのです。

確かに佐藤ママのいう通り、小学校の勉強をきっちりやり切るのは大事です。教養の基盤ですからね。ここが疎かだと、のちの「学び」に支障が出ます。言葉を知らなければ本を読むにも支障が出ますからね。そのレベルの支援を私はしました。しかし少しでも偏差値の高い学校の問題を解けるようになるために夜12時まで勉強する生活が本当に必要なのでしょうか。私はそうは思いません。解けるようになろうとすることは大事ですが、夜は21時には寝てもらわないと困ると考えていました。幸い、うちは全員、早寝早起き習慣ができていたため、いくら中学受験といえど、長男も次男も21時には布団に入っていたので「寝なさい」と言わずにすみましたが。万が一にも23時を過ぎて勉強していたら、私は一言言ったと思います。

親が期待と欲にまみれた育て方をするから「そういうこと」になるんですよ。

と佐藤ママは何度も言っています。「そういうこと」というのは「狂った状態」です。ここは非常に大事。親が期待と欲にまみれず子どもをしっかり観察し、ひとりの人格として尊重し、塾に丸投げせず、細やかな支援をしつつ、親の情緒も安定し、不用意な発言をしたりしないという条件さえクリアすれば、中学受験は決して害にならないという話です。それには私も同意します。なので、中学受験そのものが悪いとか、そういう話ではなく、あくまで「加熱し、半ば狂った状態と言っていい中学受験」には否定的ということです。