親のライフスタイルは子どもに強化されて受け継がれると、これまで何度も申し上げてきました。次男は、まさにこの論理がバッチリ当てはまり、夫以上にルール(自分との約束)を死守するライフスタイルの男になりました。自分以外の他人は自分の思い通りにならないことを私は息子たちに散々教えてきましたが、その甲斐あって、適度な距離を取れない人とは、それが彼女であっても関係を手放すようになったのです。

人間関係に浪費する時間やエネルギーがない分、自分のしたいこと、すべきことに投じる時間やエネルギーは相当なもので、起床後のトレーニング強度には「流石に真似できんわ。体が壊れる」と夫も脱帽しています。父親冥利に尽きるという感じでしょうか。うちはもともと魚を多く食べる家族ですが、夫の魚好きが更に高じて、次男は自分の食べたい魚を食べるため「信頼のおける魚屋」を探し出し、わざわざそこで買って帰ってきます。私の調理法が気に入らないらしく、今や自分で煮たり焼いたりしています。それを見て親友の西野君は「結婚するならコイツ」と褒めています。

次男はスマホを大学入学早々手放しました。練習に差し支えるという理由です。最初は「彼女からの頻回のメールがうざい」と言っていたのですが、次第にスマホそのものすら面倒くさくなったようです。

姿勢が悪くなるし視力も落ちる。良いことは何もない。

という理屈です。「そもそもスマホを持つ手の筋力がもったいない」と言ったのには笑いました。

そんなたいそうな体格をして、たかがスマホのグラム単位の重さくらいどうってことないでしょ。

と私が言おうものなら、

これだから精神科医はだめ。体のこと全然わかってない。

と一蹴されてしまいました。確かに、夫もネックレスや時計、結婚指輪さえ身につけません。常に裸でいたいと言っています。左右対称な体のバランスを崩す原因になるものは一切身につけないという主義です。ここまで自分自身の管理に時間やエネルギーを投じることのできる人生は素晴らしいと思います。

令和の子育ての最大の難題「スマホ依存」については既に本が何冊も出るくらい深刻な問題になっていますが、当の本人の自制心が未熟ではどんなノウハウも意味がありません。そして自己操縦感の観点からも、本人自ら距離を置いたり、手放そうとしない限り手放せず、結局依存を形成する羽目になるでしょう。そういう意味で、ルール生活はとても大事なのです。幼少の頃からルール生活を強化することで、自分が決めたルールを守ることが最重要となり、スマホがそれに支障をきたすなら自分から手放す。自分との約束を優先する人生です。だから幼少時の挨拶や歯磨きや掃除のしつけが大事なのです。これこそが私が推奨する最も確実なスマホ依存回避法と言えるでしょう。