佐藤ママの動画です。息子さんが「ぼんやりしている」ため勉強が捗らないことを心配した母親からの相談です。勉強のスピードを上げる工夫をされていましたか?という質問ですが、私は勉強のスピードのことより「ぼんやりしている」という部分が気になります。

のんびりした子で隣に座らないとぼんやりして宿題が進まない。隣にいてもぼんやりして鉛筆が止まります。サポートと宿題の後にゲームなどの楽しみでなんとか回せてますが、このままではいつか宿題が終わらなくなるのではと不安です。勉強のスピードを上げる工夫などをされておられましたでしょうか?

してました。うちはゲームさせなかったので。馬の前にニンジン下げて走らせるのあるでしょ。走らせるニンジンの代わりにゲームをさせるというのは、結構、後でえらい痛い目に遭いますよ、お母さんが。ゲームのために勉強するんじゃなくて、勉強は勉強のためにするんですよ。そういう甘い考えをまず持たせないってことですね。

勉強して当然だよねって話ですよ。だからね、子どもには「勉強して当たり前だよね」って。

重要なことが2つ、出てきました。ひとつはゲームを餌にして子どもに勉強させることの是非、もうひとつはご存知、佐藤ママの真骨頂「勉強して当たり前だよね」という価値観を徹底することです。

賛否両論ですが、私も「ゲームを餌にして勉強させる」ことには反対です。餌をぶら下げなければやらないということはそもそも「やりたくない」ということですから、「やりたくない」の根本治療をせず、ゲームで応急処置的に勉強させても、次第にその効果は薄れ、もっと大層な餌(ご褒美)をぶら下げなければならなくなるし、そんな姿勢で勉強しても成果はしれています。佐藤ママの場合、そうならないようにするための根本治療が「勉強して当たり前だよね」というムード(価値観)を子ども達に浸透させることでした。家中がそのようなムードであれば、子どもも「そういうもの」と素直に受け取るでしょう。親が勉強を苦行のように思う価値観が、勉強を嫌なムードにし、子どもが勉強をしたがらない原因になっているのです。

この動画にはとても大事なことに触れられています。勉強時間の件です。子どもが勉強したがらない理由のひとつは、勉強時間が長すぎる、というのがあると思います。小学校3年生くらいの(勉強習慣がついていない)子どもの勉強時間は15分が妥当ではないでしょうか。うちはずっと15分でした。なので「やりたくない!」ということはありませんでした。だってたった15分ですから、嫌もへったくれもないんです。佐藤ママも動画の中で「ブツブツ切ってやらせていた」と言っています。それを最初から30分も1時間も続けてやらせようとするから、子どもが億劫がって勉強したがらなくなるのです。最初から欲張ると後々損をしますね。まずは勉強に「すっと」取り掛かる習慣をつけるのが先だと思います。

(多くの人は)まず集中させて勉強させようとするけれども、勉強って集中してからするものじゃなくて、しているうちに集中してくるものです。

この話は佐藤ママに限らず小林尚先生や林修先生も言っている大事な原則です。「集中してから勉強」ではなく「やっているうちに集中するもの」と認識しましょう。ここを間違えると、子どもはいつまで経っても集中しない子になってしまいます。そのためには、短い時間を「まずやる」「とにかくやる」を徹底する。ここをクリアしないことには集中モードになりません。たった10分、15分とわかっていれば、子どもも嫌がずにやるし、早く終わらそうと「ガーッと」やるでしょう。10分15分なら餌をぶら下げなくてもやりますね。そして佐藤ママがいつも言っているように、親は「具体的に」勉強する内容を示し、

これとこれと10分でやってね、

と言うのです。何も具体的に示さず「勉強しなさい!」という親は、もういないと信じたいですがいかがでしょうか。

相談者の親御さんは「勉強のスピード」の話を質問していますが、佐藤ママの回答は、スピード云々の前に勉強に取り組む「姿勢」をちゃんとつけないと、という話です。息子さんの「ぼんやり」を親がどのように解釈しているか、ここがポイントです。子どもが他ごとを考え目の前のモノを見ようとしないのであれば、まずは目の前のモノを見るようにならないと仕方がありません。餌をぶら下げなきゃならないくらい嫌々やっているのにスピードの話をしても仕方ないでしょう。この理屈は必ずおさえましょう。大事なのはスピードの話じゃなくて姿勢の話だということです。