佐藤ママの動画です。

小6女子が、学校で女子特有のトラブルがあり、落ち込んだり、学校に行きたくないと言っています。何かアドバイスがあれば教えてください。

という内容です。佐藤ママのアドバイスのポイントを先に紹介します。

人間関係ってくっつきすぎるとろくなことないんでね。子どもにはそういう話をした方が良いと思います。

いかがでしょうか。小学校高学年の子どもになら、このアドバイスは適切だと思います。この頃から人間関係の機微を身をもって学習する時期だからです。ここで「ぐちゃぐちゃした関係」に飲み込まれ、自分を押し殺すことを習慣にしてしまうと、自傷やら何やらと面倒なことが起き始めます。大人ですら人間関係をうまく対処できず「会社に行きたくない」と言って精神科に来るくらいですから、子どもなら尚更です。

人間関係をうまくマネジメントするコツは「距離を置く」です。物理的にも心理的にも距離を置くです。特に「心理的に距離を置く」感覚を会得しないと、嫌われることを恐れ、いつまで経っても「ぐちゃぐちゃした関係」に自分を置いてしまい、心のエネルギーを浪費し、勉強どころではなくなってしまいます。

河野玄斗氏の動画を覚えていますか。彼も、中学高校時代を通じて、人間関係対処術をぐんと向上させたようです。人の悪口や不平不満を言う人と距離を置くことを練習し続けたのでしょう。勉強でもスポーツでも成績が良い子は、勉強、スポーツの能力を向上させることだけでなく「集中を阻害する因子の除去」も行っています。ここは非常に大事です。いくら親が色々お膳立てをし、お金を使って塾に通わせても、肝心の子どもが人間関係に脆弱で心のエネルギーを浪費していたのでは話になりません。

私の記憶でも、中学高校時代の成績優秀者の多くは、どこか超然としていました。思春期にありがちなぐちゃぐちゃした人間関係や感情の起伏の激しい子や怒りっぽい子、独占欲の強い子とは距離を置いていました。このようなことは教師よりも、やはり親が子どもに教えるものだと思います。それなのに、教えるべき親がママ友の人間関係のぐちゃぐちゃに巻き込まれ情緒不安定にしていたら、子どもも「人間関係というのはそういうもの」と思ってしまいます。子どもが「人間関係の距離を置く」感覚を実体験する最初の機会は、子離れ親離れの時だと思います。それが思春期の入口です。柳沢幸雄先生が「子どもが思春期に突入したら親は意識的に子離れする必要がある」と強調するのは、人と人の適切な距離感を肌で感じさせるという意義もあるのだと思います。我が子との距離の取り方が絶妙な親の子どもは、将来的におそらく人間関係のぐちゃぐちゃに飲み込まれることなく、うまく距離が取れるようになり組織の中で生きることに変なストレスを感じることのない大人になるでしょう。