私は、現代社会の真っ只中でストレスに満ちた生活をしているごく普通の人々のためにこの本を書きました。人生や生活上の様々な問題を抱えながら、その中で自分たちの心と体のバランスを維持していくためにはそれなりの努力をしていかねばなりません。

急速に進む今の社会に歩調を合わせようとすると、様々なプレッシャーが生じ、常にストレスや変化、不安、さらに体の痛みや慢性病といった問題につきまとわれます。現代社会の中で生きている限り、そういったプレッシャーから逃れることはできません。このような社会で生きていくためには、こういったプレッシャーを上手に処理し、自分自身を守る方法を身につけていかなければなりません。それも、タバコやお酒やドラッグなどに救いを求めたり、脇目も触れず仕事に没頭してプレッシャーを忘れようとするといった非健康的な方法でなく、もっと健康的な方法が必要になってくるのです。

調和が取れ、生活の意味を深めるような健康的な道を選ぶか、あるいは必然的に悪い結果を招くような非健康的な方法を選ぶか、道は二つに一つです。どうしていいか全くわからないような状況に直面すると、私たちは、自分の内部と外部とのバランスを保つことができなくなったりします。本書は、そんな時にどうしたらいいかを教えてくれるはずです。今からでも決して遅くはありません。必要なのは「今」という瞬間の全てを進んで受け入れようとする気持ちだけです。

「マインドフルネス瞑想法」というのは、「今」という瞬間に完全に注意を集中するという方法です。これは仏教における瞑想の中核と言われており、禅宗をはじめとして、そのほかの仏教宗派でも非常に重んじられているものです。しかし仏陀も強調しているように「マインドフルネス瞑想法」は仏教徒以外の人が普通の生活に広く応用できる普遍性を備えているものです。