佐藤ママの動画です。「夫婦関係で悩んでいる人たちへ」というタイトル。夫の言動にいちいち腹が立つというアレです。佐藤ママでさえ「あるある!そんなのありますよ!」と共感していました。ところが私といえば、ないんですね。夫に腹を立てるということが記憶の限りないのです。つまりこれは相当「稀有」なので、以下の話は参考にならない可能性があります。

「何故、私は夫に腹が立たないんだろう」と考えると、ひとつ絶対的に言えるのは、私は妻でありながら観察者だったというのがあります。表現が不適切かもですが、私は夫を「珍しい生き物」のように捉えているんですね。何しろ自分とは全然違う路線で生きてきた人なので、いちいち興味深いんです。「面白いなーそういう考え方をするんだ」みたいなことがずっとある。今だにあります。「珍しい生き物の観察をしている感覚」のお陰で夫を客観視できている、だから感情的にならないのだと思います。昆虫の観察をしていて腹が立たないでしょ?それと同じです。私が夫の言動にしばしば「えっ」となるのは、そういうことなんじゃないかな。「えっ」という感覚は意外とか「どういうこと?」という気持ちの表現です。すると次に来るのが「そうなんだ、知らなかった」「初めて知った」という気持ちなので、腹が立つとは全然違う方向に注意が向いてしまうのだと思います。

もうひとつ、これも私の中では絶対的なのですが、そもそも夫は私にとって「尊敬すべき対象」という意識です。私より夫の方が世間とか人間関係とか子育てとかについての含蓄が深いというか、よくわかっていると私が勝手に思い込んでいるので、自分と同等に思えず、反論する気にならないのです。「えっ」と思っても、一度受け止めよく考えてみよう、となるので、腹も立ちません。例えば「息子たちに頑張れはもう言わんでいい」と言われた時も、最初は「えっ」と思いましたもん。息子に頑張れって言ったらダメなの?みたいな。でも、よくよく考えると「確かに夫の言ってることが正しい」となった。「なるほどなるほど、私って浅かったなー」という気持ちになったので、腹が立つにならなかったのです。

そしてもうひとつ、これが最後なのですが、私たちは最初から互いに距離を置いた生活をしてきたというのがあります。恋人・夫婦といえど「侵してはならない領域」がちゃんとあって、互いにそこに踏み込んだりしないから、腹が立つとかイライラするというのが基本的にない、というのがあります。例えば、私たちの学生時代は携帯電話すらなかったので、今みたいに簡単に連絡がとれなかった。夫は寮生活していたので、私の方から連絡するには寮の電話に電話し取り次いでもらわないといけなかったのです。だから余程のことでない限り電話する気にならなかった。平日は完全に別々の生活をしていたのです。会うのは毎週末、夫の試合や練習が終わった後という極めて規則的な会い方をしていました。なので会っている以外の時間に夫が何をしていようがほとんど気になりませんでした。どうせ週末には会えるんだし、みたいな。たまに友達に「浮気とか心配にならないの?」と言われたこともありますが、「えっ、だってそんなこと心配してもしょうがなくない?」と思っていました。かっこよくいえば、当時既にアドラー的思考が身についていました。会っていない時に夫が何をしているか、というのは私がコントロールできる問題じゃない、だから触れないという考え方です。

話は逸れますが、先ほど私が夫を「珍しい生き物」みたいに思っていたという話をしましたが、実は夫も私を「珍しい生き物」みたいに思っていたらしいです。夫の周りは俗にいう「学校の勉強はできない」人ばかりだったので、私みたいにガリガリ勉強するタイプの、しかもそれが女というのが珍しくてしょうがなかったんですって。だからその「珍しい女」見たさで、夫と私とのデートに、ラグビー部の男の子がゾロゾロついてきたというのです。てっきり私は、夫が私のことを「いい女」と言いふらし、そんな私に興味を持った男の子たちがゾロゾロきているのだと勝手に思っていました。自分に都合よく解釈するって大事だよねというエピソードです。