労働経済学者安藤至大氏によると、産業構造の変化が加速する今、会社に100%人生を預けることのリスクは大きいと言います。それはつまり、自分の人生設計やキャリア設計を会社に100%預けられない時代になったということであり、自分の人生は自分の力で考え切り開いていかねばならない時代になったということです。多くの受験のプロの先生方が「自分の頭で考える」重要性を説くのはこのためです。自分の人生設計やキャリア設計を自分の脳で考え、自分で創れるようにならないと、「生き方がわからない」とか「私は何のために生きているのでしょうか」と正解を他人に聞くしかできない脳になってしまいます。多くの人が唯一の正解を他人に聞きたがるのは、自分の頭で考えられないからと言っても過言ではありません。

安藤氏は次のように述べています。

今の仕事自体がなくなることもあります。なので、個人としては自分が「売れる人材」かどうか、企業にとって自分を採用するメリットを明確に説明できるかどうかが問われてきます。ですから、私は学生や若い人には「常に勉強しなくてはならない」ということ、また「自分の仕事がどれくらい続くのかを見極めること」が大事と伝えています。

親の役割は、このような、経済や労働市場の動向を都度アップデートし、子育て教育に盛り込んでいくことだと私個人は考えています。大学入試合格は人生のゴールなどではありません。ゴールどころか本番前の準備期間です。ゴールはもっとずっと先です。従って高校生大学生は、既に始まっている自分の人生を自分で切り開いていくため、身につけなければならないスキルや考え方や行動様式を自分で見極め、トレーニングを積まねばならない。そういうことを、子どもが自立的能動的に考え行動出来るよう、親は子育て教育のメニューを自分の頭で考えなくてはならないと考えています。