高濱先生の動画です。高濱先生は子どもというものを俯瞰的に捉えています。たくさんの子どもを見てきているから、というのもあるでしょうが、やはり観察力が優秀なのではないでしょうか。子どもをよく見ている。よく見ているというのは、受け止める、話を聞くということです。大人の方がペラペラ話したがりでは子どもが話せなくなってしまいます。やはり大人は子どもに話をさせるように仕向けなければなりません。

今回のテーマは「あと伸びする子の1番の差は家庭の国語力の差」という話です。国語力の差と言っても国語のテストの点数の差ではありません。言語力とでも言いましょうか。高濱先生は、親の「言葉に対する厳密さ」を強調しています。子どもがちょっと言い間違えたら「それは嬉しいじゃなく楽しいだよ」と指摘するといった話です。これねえ、我が家は厳格でしたよ。何しろ夫は高校大学とラグビーの強豪校でしたから、言葉の使い方は長い時間をかけ厳しく躾けられてきていました。正しい日本語であることはもちろん、できるだけ簡潔に伝えるとか、大事なことを先に言うとか、そもそも滑舌が明瞭でハキハキしているとか、こうした様々な要素の相対を言語力と表現しているのだと思います。私の知るラグビー部の男の子というのは「よく喋る」と同時に、適切でわかりやすい言葉を選び話すことに長けている印象です。

なので当然夫の息子たちへの言語教育は厳密でした。次男が興奮してウワーッと捲し立てたりすると、「おいおい、ゆっくり喋れや、ゆっくり」と諭しつつも、とにかく喋らせ、夫は深呼吸を促す動作をしながら「ふんふん」と頷き、トーンダウンを促していました。吠えまくる犬を宥めるのと同じです。次第に次男が落ち着いてきたら、今度は次男の言葉を一緒になぞるようにして声を出し、そこで言い間違いや文脈の間違いを正していました。非常に根気のいる作業です。しかし夫はこの能力の重要性がわかっていましたから手を抜くことはありませんでした。

結局のところ、言語能力というのはコミュニケーション能力に組み込まれていくのですが、幼少期の丹念な言語教育言語指導がその子の将来のコミュニケーション能力の土台になるのは間違いありません。手をかけただけ分厚くなるでしょう。親が「子どもの話を聞く姿勢」の重要性はこれまでも何度も説明してきました。親がちゃんと話を聞く姿勢を見せた子どもは、きっと人の話を聞ける人間に成長するでしょう。くどいようですが「話を聞く力」「聞く力」は子育てキーワードの最重要ワードであり、コミュニケーション能力の土台になるものですから、ここにしっかり時間とエネルギーを投入しましょう。