子育ての名著と名高い「自分の親に読んで欲しかった本」を紹介します。世界各国で合計200万部以上売れたこの本は「子どもとの接し方に関する解決策」が具体的に書かれているのですが、子どもの有無に関わらずコミュニケーションの勉強になる本と言われています。冒頭で結論を申し上げると、子育てをややこしくしてしまっている最大の理由は親のコミュニケーション能力不足であるという話です。つまりこの本は親のコミュニケーション能力を子育てを通じてスキルアップしましょうという話なのです。子育てを通じ自分も成長するというのは最近の子育て本には必ず書かれていることです。動画では以下の3つのポイントについて説明されています。正直、この3つで十分だと私は考えます。

①子育ての遺産は連鎖する

知識的な話です。筆者は子育てにおける「邪魔なもの」を「親が子どもの頃に与えられた体験」とし、我が子に感じる不快な気持ちをできるだけ客観視することを推奨しています。要はあなたが叱っている子どもの気持ちは、ありし日の自分の気持ちですよという話です。

例えば親が子どもの頃、親に「勉強しなさい!」などと言われ、自己評価を下げストレスを感じる体験をしていると、今度自分が親になって我が子が勉強しないと、同じように「勉強しなさい!」と言って怒りを炸裂させてしまう、そういう悪循環を知りましょうという話です。なので子育てにおいては我が子への自分の反応を注意深く観察し、「やらかした」ことに反省をしつつ、目の前の子どもにとって最適な反応は何なのかを考えましょうと述べられています。

② 親はどこまで厳しくすべきか

育児のアプローチは次の3つとし、❶と❷の弊害を説明しています。いずれも「度の過ぎた」厳しさと甘さです。あるいは厳しいばかり、甘いばかりでは困りますよという話です。当然❸が推奨されています。

 ❶厳しくする
 ❷甘くする
 ❸協力する

❶は「常に正しくあれ」「強靭であれ」と教えているようなもので、すると子どもは親とのコミュニケーションを避けるようになり、将来、責任ある人に協力することや、自分がリーダーになることができなくなる、つまり責任を回避することばかりを考えるようになります。今の若者が「責任を異常に嫌がる」のは親のアプローチの仕方に問題があったのかもしれません。
❷は親の基準や期待を子どもに一切伝えないという弊害があるので注意しなければなりません。親が子どもに基準を何も示さないと、子どもは不安を感じ、情緒不安定となります。これも非常に多いです。
❸が最も良い方法と言われており、親と子どもが一緒になって問題を解決する、という方法。親は独裁者ではなくカウンセラーのポジションとされています。そのための5つのステップが紹介されています。

ステップ① 自分の考えを明示し問題を明確にする
ステップ② 子どもの行動の背後にある感情を突き止める→気持ちを聞いてあげる
ステップ③ その感情を受け入れる→共感する
ステップ④ 意見を出し合い解決方法を考える→親が決めず子どもに考えさせる
ステップ⑤ 決まったことを最後までやり通す

この部分がこの本の核心とも言える部分で、コミュニケーションをわかりやすく分解しています。あなたがもし子どもから「コミュニケーションって何なの?」と聞かれたら、この5つのステップを教えてあげましょう。

③ 感情を置き去りにしない

ここは社会性に関わる大事な部分です。議論の件です。日本人は議論になると、ついつい感情のぶつけ合いをしがちです。これでは議論の本来の目的から外れてしまいます。議論というのは相手の理解と妥協点を見つけることなので、感情の制御ができないと、せっかくの議論が何も生まれないし、下手に論破すると相手は自分を敵とみなすので互いに思いやりをもてなくなるという弊害を生みます。議論下手では困るということです。大人でも議論下手な人がたくさんいますが、次世代、そのまた次の世代となると尚更で、議論ができない人がどんどん増えています。これでは社会性もへったくれもありません。パワハラを横行させ、メンタル不調者を増やすだけです。そうならないようにするために筆者はひとつの知恵を提唱しています。

私はこう思う、私はこれは嫌だ、私は嬉しいなど、必ず主語を「私は」として話す、というものです。そしてあなたはどう思う?と言って、相手の感情をきちんと聞くようにする。すると子どもの感情を受け入れることができす。すると子どもの心に安心が芽生えるだけでなく、子ども自身が知的な議論の方法をみにつけられるようになるという話です。いかがでしょうか。ざっと概略を説明しました。今日からでもすぐにできることばかりです。本でも動画でもインプットしているばかりでは意味がありません。同時にアウトプットを行い、スキルを磨いていきましょう。まだまだこれからです。