今回のテーマは「反抗期の子供への対応」とありますが、これは子供に限った話ではありません。職場の上司の部下に対する対応と置き換えても活用できます。そういう視点でご覧になってください。まずは要点を列挙します。

① プロにアウトソーシングする
②  ただ選択肢を伝える
③  正論で返す

②が重要です。子どもが反抗する理由は子どもが求めてもいないのにアドバイスをしたり命令したりするから、という論理を知ることです。実はこれ、私も子育て中に気づきました。ちょっと子育てに詳しいとか、先に30年生きていたりすると、ついつい知ったかぶってアドバイスしてしまいがちです。ところが多くの場合、子どもはそんなものを求めていないのです。次男が私を徹底的に敬遠したのは、私が理屈っぽく指示やアドバイスをするからだと気づきました。

にしむら先生は次のように述べています。

我が子に対してアドバイスをしたいと思ったら「こうした方がいいよ」「それはしない方がいいよ」というよりも「Aという選択肢を取るとこういう可能性が高まる」「Bという選択肢を取るとこういう可能性が高まる」ということだけを伝えて「判断は子どもに任せる」という姿勢で子供に接しましょう。

まさにこれです。これが「自分で考え判断する」力を育む子育ての原型ですよ。親がここに気づくか気づかないかは子どもの将来を大きく左右します。子どもを「選べない子」にするかしないかがかかっているのです。そして大事なのはどっちを選んだところで、その後にやることは、その選択をより良いものにすることに変わりはありません。

③も重要です。子育て教育領域における学問研究的トレンドは「怒らない」が主流ですが、だからといって子どもが一線を越えるようなことをした時ですら怒らないと言っているのではありません。怒るところまでは良いとしても、それが度を越えていたり長々続くようでは困るという話です。にしむら先生は次のように述べています。

子どもの言動が一線を越えたら怒るべきです。怒らないで冷静に諭さないと、、だなんて考えていたらこっちが本気で怒っていることが伝わりません。たまには親の本気を見せつけることも必要です。そうでないと子どもの善悪を判断する力が養われません。

いかがでしょうか。必要な時には怒らないと子どもの善悪を判断する力が養われない、ここが重要ですね。成田奈緒子先生もおっしゃっているように、生死に関わるような件や法律に違反する件については別です。ここは親自身のルールとして決めておくのが良いでしょう。私はこの2点でした。だから例えばスシローで息子がぺろぺろしようものなら、その瞬間は「やめなさい!」と言って叱ったでしょう。ただ私がほとんどの場面でそのようなことをせずに済んだのは、夫が先に「あかんあかん、それやったらあかん」と制してくれたからです。我が家では夫の「あかん」はものすごく効果がありました。そこで自分の態度を改めないと、次はドスの効いた大阪弁が飛んでくるからです。息子たちはこの「ドスの効いた大阪弁」だけはまずいとわかっていたので、夫が激怒するようなことは一度もありませんでした。ドスの効いた関西弁は子どもに怒りを炸裂する前段階でとても効果があったという話です。