2024年のブログのテーマのひとつがこれです。偏差値至上主義の弊害。これは精神科医療と直接関係がある深刻なテーマです。わかりやすく言うと、今これほどたくさんの人が精神科に訪れる理由の根本にこの問題があると考えているからです。なのでできるだけ早く気づいて欲しい。皆さんが「正しい」と信じている道は残念ながら「必ずしも」というより「多くの場合」正しくも何ともないんですよということに。今日の動画ではこの件について成田修造氏と堀江貴文氏がとても大事な話をしています。まず成田氏のインタビュー、続いて堀江貴文氏です。

もったいないと思うのは、無茶苦茶頭のいい人たちっていっぱいいるわけじゃないですか、東大医学部受かったり、中学受験で灘とか受かってる人いるわけじゃないですか。そういう人たちが偏差値レースの中でしか物事考えられなくなっていってしまうシステム上。そうすると、その人たちが大企業に就職しよう、医者になろう弁護士になろうとなって、比較的「安牌」なリターンが明確な仕事しかしなくなってしまうじゃないですか。本来日本ってアメリカとかもそうですけど、何らかのイノベーションを生み出して社会構造や産業構造を変えていくような動きというのが国としても必要なのに、そこに優秀な人材が行きにくい仕組みになってしまっている。で、保険を皆かけたつもりなんだけど、保険ぽい人生しか歩めなくなって、50歳とかになって皆気づき始めて、ああ30年過ぎちゃったからもう何もできないってなってしまうのは非常にもったいないんじゃないか。

まず俺はこの時代に気に入らない奴と仲良くしなくていいと思うんだよね。俺だって、何でこいつと仲良くしなきゃいけないかわかんなかったもんね。結局最後まで仲良くしなきゃだめだって言われて仲良くしているフリはしてたけどフリだよね。でね、人生って意外と短いよっていうのが言いたいわけ。悠長に構えている暇はない。特に体力っていうのは残酷だよね。遺伝子の違いだから努力してどうにかなる問題じゃないので。そうすると40代50代になると如実に差が出るんだよね。体力がないとモチベーション湧かないんですよ。体力ある人はメンタル強い、体力ない人はメンタル弱い。そういう人たちは30代40代でやる気がなくなっちゃうから人生詰むんですよ。だから10代20代で頑張ってって。で、この貴重な時間を受験だの就活だのに費やしているのはマジで無駄。可哀想。でも囚われてるんだよな。

いかがでしょうか。成田氏が用いている「保険」というキーワード、これが多くの人が「正しいと思っている道」です。「高い学歴を獲得すればのちに楽できる、幸せな人生が待っている」という思想。そして堀江氏が言う「体力のある人はメンタルが強く体力のない人はメンタルが弱い」という件。実際、精神科医の私もその通りだと思うのですが、問題なのは「それなのに」10代20代の貴重な時間を受験だの就活だのに費やしてしまっている実態です。正直、そんなことやってる場合じゃないと私も思います。何故なら、そうこうしているうちに皆精神科に来るようになってしまうから。精神科に来て治ればいいですよ、でも治らない。それどころかどんどん「ぐちゃぐちゃに」なっていく。何故ならその理由が今回のテーマだからです。それが正しいと思って邁進してきたのに、何か違う、何かがおかしい、と感じ始めるから、不安が湧き出して情緒不安定になり精神の具合が悪くなる。一見、何か病気のように見える。そこまではいい。しかし問題の根本は病気じゃないですから。成田氏が「システム上そうなってしまっている」と述べている「この部分」がものすごく大事なわけです。世の中の仕組み(システム)が大きな矛盾をはらんでいるということです。ここに気づかなければならない。ここに気づいて、その矛盾に飲み込まれないような子育てや教育をしなければならないという話です。