全国高等学校ラグビー選手権大会の準決勝が終わりました。神奈川代表桐蔭学園、大阪代表大阪桐蔭高校、福岡代表東福岡高校、佐賀代表佐賀工業高校。全部知っています。

桐蔭学園と大阪桐蔭の「桐蔭対決」は桐蔭学園に軍配があがりました。あの大阪桐蔭が一点も取れず完封されたのです。信じられない。試合後、大阪桐蔭2番のフッカー西野君のコメントが胸を刺しました。

こんなに泣いたのは人生で初めて

18歳の男の子のが大観衆の前で「こんなに泣いたのは人生で初めて」という経験をするというのは凄いことです。同世代1000人にひとりの経験でしょう。私はありません。でも夫はありました。西野君と同じように花園ラグビー場の大観衆の目前で、気が狂うほど泣いたと言っていました。泣いた理由は選手ひとりひとり違うでしょう。さまざまな思いを胸に大舞台に立っているはずです。私が言いたいのは「それだけ泣けるレベルに自分を高めてきた」ということです。遊ぶ時間や彼女と会う時間、色々な欲求を自制し、膨大な時間とエネルギーをラグビーだけに費やし、フィジカル・メンタルコンディションを最高の状態にして挑んだ全国大会だったに違いありません。

今私が西野君の母親なら号泣する我が子に声をかけません。背中をさすることも致しません。ただ離れて見守ります。そして大観衆の前でこんなにも泣ける状態に育ってくれた息子を誇りに思います。そして息子が帰ってきた時には笑顔で迎えたい。「残念だったね」も言わないし、ましてや「次があるよ」なんて絶対言わない。そういう軽々しい言葉をかけることができないほど息子は成長し私の知らない経験をしているのだから。

じゃあどうするの?って、お風呂を渾身の力で掃除しピカピカにしたバスタブにお湯を張りジャスミンの入浴剤を溶かし、いつもと違う香りのするバスタオルを用意する。赤飯にはしないけれど、ご飯もおかずもいつもより少なめにし、魚はカレイの煮付けにするかな。声をかける具体的なセリフは全部夫に任せます。ただどうしても、どこかで伝えたいのは、

あなたが私の子供に生まれてくれて本当によかった

ということです。