1 転ばぬ先の杖を出す
2 子どものイジメ問題に親が介入する
3 我が子を「かわいそうな子」にする
4 「早く宿題を終わらせなさい」と伝える
5 周囲に合わせて小学校3年から何となく中学受験塾へ
6 両親の教育方針が違う
7 誰かと比較する

高濱先生の動画から引用しました。「無意識に子供を潰す7つのケース」言い得て妙。要は自分の不安を処理しきれない親の行動全てが子どもを潰すということです。精神科的に大事なのは7の比較思考です。比較思考で幸せな気持ちになれる人はいませんから。動画の中で高濱先生も同じことを言っています。2024年は比較思考をやめる年にしましょう。

柳沢幸雄先生は「子離れは親が意識的に行わないとできない」と言っていますし私もその通りだと思うのですが、その手始めが子どもが小学生になったらある程度「放っておく」ってことです。高濱先生はこれを「親の目の届かないところで遊ばせなさい」と表現しています。結局、親が不安だからずっと子どもから目を離さない。「あれダメこれダメ」と言われて育つ。子どもは意識的にも無意識にも親の視線を終始浴び続け、親の監視下に置かれた生き方が「当たり前」になる。その先に「人目が気になる」「人目に縛られる」という感覚に苦しみ「挑戦できない」不利な人生が待っています。親が子どもから目を離さず「ああだこうだ」言うのは子どもを信用していないからです。親が信用するという感覚を未経験のまま大人になってしまったから。だから昨今、未成熟な大人という概念が登場したのです。

私もうっかりすると余計なひと言を言ってしまいがちな母親でした。それを強く制してくれたのが夫です。スポーツをやっていると、監督が自分を信用してくれるという感覚を学び知ることができます。最初のうちは逐一指示や指導をしていた監督が、どこかの時点で「お前たちの判断に任せる」という姿勢にシフトチェンジする。子どもたちはそこで「認めてもらえた」という感情を味わい喜び「やるぞ!」という気持ちになり自分の頭で考えるようになる。子育ても全く同じです。親が子どもの人生最初の6年間に必要なことをしっかり教え込んだ後は徐々に「お前に任せる、自分でやってみろ」にシフトしないと、行き着く先は未成熟な大人です。学力や受験というフィールドではなかなかこういう経験はできません。私が児童精神医学の観点からもスポーツの重要性を訴えるのはまさにこのことなのです。