この動画はとても大事です。



早期教育についての佐藤亮子氏と内田伸子先生の対談動画です。内田先生は早期教育の有害性を学問的に検証しており「早期教育はやり方次第」と説いています。佐藤亮子氏は早期教育は必要と言いつつ「但しやり方次第」と説いています。もはや、これが結論と言って差し支えないと思います。

早期教育は「やり方次第」で有益にも有害にもなる。

噛み砕いて言うと、「ネットに書いてあったから」とか「動画で有名人が言っていたから」「よそのオタクも皆やっているから」などという希薄な理由で、親が自分の頭で精査も取捨選択も行わず、他人のやり方を鵜呑みにし、何の工夫も行わず、そっくりそのまま子どもにやらせたりするから、有害の罠に落ちてしまうんですよという話です。和田秀樹先生も佐藤ママも、受験のプロと呼ばれる先生方が口を揃えて、親が自分の子どもに相応しいやり方を自分の頭で考えないと、成績が伸びないばかりか、成長発達に多大な支障をきたしますよと、これまで散々警告しています。

この動画でまずおさえなければならないことは、動画が始まってすぐに、内田先生と佐藤亮子氏は口を揃えてこのキーワードを使用しています。

二極化しています」。

動画では、家庭の所得、つまり経済面についての二極化と言っているように聞こえますが、所得が二極化するということは、教育も、住んでる場所や環境も、関わる人間関係も、触れる情報も、何もかもが二極化しているということです。二極化すると何が困るか、困ることは色々ありますが、例えば「平均点」「平均値」の意味がなくなります。理解できますか?こういう場合を考えてください。クラス40人で算数の試験を行ったところ、上位10人が90点、下位30人は10点でした、というケース。この場合の平均点は30点になりますが、この30点に意味があるかという話です。多くの人は「平均点」で自分の立ち位置を類推評価しがちですが、平均点に意味があるのは正規分布の時だけなのです。困ることは他にもあります。例えば勉強法について。先の40人のクラスの分布(二極化)で考えます。二極化すると、上位10人の勉強法と下位30人の勉強法は明らかに違い、上位10人の勉強法を真似たところで下位30人の子にとっては利益が乏しいどころか有害にさえなるという話です。動画の冒頭で、司会の加藤氏のツッコミに、内田先生は「(佐藤ママの事例は)ケーススタディとしては興味深い」と断言しています。このことです。佐藤ママの事例はケーススタディにしかならない、一般化できる話ではないということです。

今回の動画の冒頭で内田先生や佐藤亮子氏が口を揃えて「二極化している」と言ったのは偶然ではありません。内田先生は学問研究を通じ二極化を体感し、佐藤ママは多くの親とリアル・ネット上で関わることで二極化を体感しているということです。つまり現実がどうしようもなく二極化しているので、そういう前提で議論したり考えたりしなければならないことを、冒頭で、暗に、申し合わせをしたのです。長くなりましたので今回はここまで。(続く)