これまで繰り返し述べてきました。子どもの人生最初の3年に、親はまず、全力を注ぎましょうという話です。あと先のことなどどうでもいい、まずここ。何故なら、子どもの人生最初の3年が、のちに色々育つはずの能力の基盤になるからです。中でもコミュニケーション能力の基盤はめちゃくちゃ重要です。


生まれたばかりの子どもが言葉を発しないからといってコミュニケーションできないと勘違いしてはいけません。その発想は勉強不足!それどころか、赤ちゃんは言葉を発しないぶん、全身でシグナルを送ります。従って親は、より高度なコミュニケーション力を駆使しなければならない。スマホをいじっている場合ではありません。

子どもが生まれた直後から、親は子どもの①目を見て、②微笑み、③頷き、④相槌を打つ、を始めます。子どもが、手足をバタつかせたり、何かを指差し、何かを懸命に伝えようとする仕草を注意深く観察し、子どもの心を読み取る努力を尽くし、読み取った内容を言葉にし、


ワンワン( 犬 )が鳴いてるねー、お客さんかなあ、ちょっと見に行こうか、

などと、語りかけ、

わかっているよ、ちゃんと届いているよ、


というシグナルを、微笑み、頷き、相槌を打ち、意味と感情のやりとりをするのです。これはつまり、大人に対するのと全く同様の姿勢であり、それどころか、相手が言葉を発さないぶん、より注意深い観察と心の読み取ろう、伝えようという姿勢が求められます。こんな大事な時に、親がスマホ画面に注意を奪われていたら、腰を抜かすほどの莫大な時間をネグレクトすることになります。従って、将来その子がコミュニケーション能力不足で人間関係に過敏になるなど、社会生活に支障をきたすようになるか否かは、この時の親の対応にかかっていると言っても過言ではありません。そう考えれば、携帯電話登場以降に生まれた子どもたちの、コミュニケーション能力不足の急増には合点がいきます。


そしてこの①目を見て、②微笑み、③頷き、④相槌を打つ、は、その後、子どもが思春期を過ぎ、大人になるまで、親はずっと続けることです。何故なら、親子関係はどんどん変化し、子どもが伝えようとする意味や感情がどんどん複雑になっていくからです。そう考えると、親は、子どもが生まれる前に、自分のコミュニケーション能力を技として捉え直し、鍛え直しておかねばなりません。この件については、齋藤孝先生が「コミュニケーション力」という本で、詳しく説明していますから、ぜひ読んでください。この本は反復本です。コミュニケーションの達人になるつもりで、10回20回、50回と読みましょう。