精神科の治療がうまくいかない人の多くは何らか共依存関係にあります。多くは親やパートナーと、ですが、中には「ママ友どうし」という例もあります。福岡の5歳男児を餓死させたのはママ友どうしの共依存関係でした。支配的になろうとする者と支配されたい者が鍵穴の関係を形成したのです。これほど不健全な関係はありません。病状が良くならないのも当然です。不眠症すら良くなりません。

共依存を人生最初に経験するとすれば親子関係です。最近はお爺ちゃんお婆ちゃんと孫というケースも増えていますが。いずれにせよ、無垢な子どもが共依存を求める不健全な大人の毒牙にかかっています。ここで共依存の味を覚えてしまうと、人生、ずっと依存関係の人間関係を作り続けるようになってしまいます。心の空が晴れることは2度とありません。それくらい共依存関係は病的なのです。

共依存を求める心理構造はかなり複雑ですが、病的に強い「認められたい欲求」がベースにあります。親の強制や支配は子どもの人格を全く認めていない証拠なので、そういう対象となった子どもは「認められたい欲求」がどんどん膨らんでいく。すると、親子関係で満たされない承認欲求を友達やパートナーとの関係で満たそうとする。しかも彼らは多くの場合、無意識にそういうことを行なってしまう。だからタチが悪い。「トー横」「グリ下」に集う若者のほとんど全てはこのような心理構造の若者です。だから自傷やODに及んでしまうのです。

では「強制や支配を行う親」はどうしてそういう真似を行うかといえば、彼らもまた、自分の「認められたい欲求」を満たしたくてたまらないからです。誰かに認められたくて仕方がない、自分で自分を満たす手立てを知らない、だから手近な我が子を欲求を満たす道具にしてしまうのです。共依存は病名ではありません。なので保険診療では治療対象になりません。ではどうしたら良いか。まず自分自身が依存気質であるか否かを知る必要がある。「認められたい欲求」が病的に強くないかどうかを客観的に評価するのです。そのために有効な方法をひとつ提案します。自分に対する否定的な意見や態度に直面した際、自分の心がどう反応するかを観察してください。瞬時に怒りが込み上げて来たなら、ほぼ陽性です。そして、否定的な意見や態度をとる人を直ちに遠ざけよう退けようとする態度を選択したら陽性ですね。そういう人は自分以外の他者の人格を尊重する姿勢が成熟しないまま大人になってしまったと言えるでしょう。世の中に自分と正反対の考えの人がいることの方が自然なのですから。