「好きです」

人通りの少ない帰り道。
夕焼けに烏が飛ぶ。

静かに、だが確りと重みを持ったその言葉は、強く俺の胸に突き刺さった。
目の前では、自分より僅かに下にある綺麗な目が俺の間抜け面を映していた。

この短い言葉に、どれだけの勇気を詰めたのだろう。
告白の言葉、ましてや男同士で。

「ごめんね」

告白した張本人、気心の知れた友人のスガは凄く凄く悲しそうな顔で謝罪の言葉を述べた。

「何で謝る?」

お前が謝る必要なんて無い。
男同士である事を気に掛けているのだろうか。
俺だっておんなじ感情を持ってるって言うのにさ。

「だってさ」

今にも泣き出しそうなのに、笑顔を懸命に創るスガの姿。

「ほら、迷惑、だろ。大地も、俺もさ、男なのに」

途切れ途切れに、溢れ出る感情を抑えるように。
スガの目に浮かぶ透明は今にも零れ出そうなのに、泣かぬまいとする姿には意地すら感じられる。

「迷惑?」
「うん。迷惑」
「男同士だから?」

うん、と頷くスガ。

「じゃあ俺も迷惑だ」
「え?」

濡れた瞳で俺を見たスガの口がぽかんと開く。
間抜けな顔。

「俺もお前が好きなのにさ」

何で男同士なんだろうね、と笑う。
運命を嗤って、俺達を嘲笑って。
どっちかが女だったら、お互い悩まなかったのに。
運命って、神様って意地悪だ。

「大地、俺の事、好き、なの?」
「好き、だよ」

わたわたと慌てるスガの目から透明が零れ落ちて。

「あうっ」

俺はすかさずそれを拭う。
それでも堰を切ったかのようにして止まらない涙はぽろぽろとスガの白い頬を伝う。

「よしよし」

頭を撫でると、子供扱いしないで、と潤んだ目で睨み付けてくる。説得力がない。

「大地、」
「スガ」

言葉を遮って、口付ける。
優しく、触れるだけ。
涙で濡れた唇は冷たい。
暖めるように自分の唇を押し付ける。
深くなくても、愛が伝わっている、と良いな。
生憎俺は一発目から深く出来る程大人じゃない。

「んっ」
「ごめんごめん」

小さく喘がれて唇を離す。

「大地の馬鹿。急には酷いよ」
「ごめんって」

離したばかりの唇を尖らせて別に嫌じゃないけどさ、と言うスガ。
急に愛おしくなって、でもキスは出来ないから、ぎゅううって抱き締めた。

「ちょ、大地」

身長はそんなに変わんないけど、スガの細い躯を包み込むのには不自由の無い体格だ。

「大好き」
「俺も」

交わしあって、また、静かに唇を重ねた。

***

宮瀬です(* ̄∇ ̄)ノ
初です。

愚作しか書けないという天才的な文章力で書かせていただきました大菅です。
大地さんの前ではころころ表情が変わる孝支さん愛しい。