山茶花のあらかた散つて仕舞ひけり 広

 

鉢植えの山茶花が夜来の雨風で、ほとんど散った。

枝先に散り残った花びらがくっ付いているばかりで、もの寂しさがある。

花が咲くときはときめきがあるけれど、それが散ると、胸中に隙間風でも流れているような思いにとらわれる。

 

人生の残り時間が限られてくると、花に一つにも思いがからむ。若い頃は咲いた花は散るものだと、そう気にもとめなかったが、加齢によって体力が落ちてくると、なにかにつけて情緒的になる。